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バブル処理の終了

大手銀行が法人税の納付を再開するとの報道がありました。みずほコーポレート銀行は2012年、みずほ銀行、三井住友銀行、りそなホールディングスは2013年から納税を開始します。三井住友は15年ぶり、りそなは18年ぶりの納税だそうです(三菱UFJフィナンシャルは2011年、住友信託(現三井住友信託)は2007年から納税を再開しています)。銀行の納税開始は、いわばバブル処理の終了宣言といえます。

バブル崩壊で不良債権発生
1990年代のバブル崩壊で多額の不良資産が発生し、その処理が急がれました。不良な資産を処理するのですから誰かが不良資産に関わる損失を被らなければなりません。不良資産を所有していたのは銀行ですから、損失を被るのも銀行になります。
銀行の貸借対照表に計上されている資産の収益性なり、価格が大きく落ち、取得価格である帳簿価格の価値を持たなくなったものが不良資産です。実態上は既に価値を失っているものを取得価格のまま載せているのですから、含み損を抱えている状態になります。経済実態は既に毀損しているのに、銀行の貸借対照表は実質の姿を正確に表現していないことになります。こうした不正常な状態のままでは、銀行は本来の融資機能を発揮できないために、貸借対照表を正常な状態に戻すべく、早急な不良資産処理が求められました。

税額の圧縮による自己資本の蓄積
不良資産の会計処理そのものは簡単です。不良の資産を損益計算書で損失処理して、貸借対照表で資産と自己資本を同額減少させるだけです。損失がその事業年度の期間利益範囲内に収まれば問題ないのですが、前回のバブルでは銀行は1年間の収益力ではとても賄いきれないほどの多額の損失を被りました。期間利益を超える損失は税務上の繰越欠損金として翌年度以降に繰り越されます。繰越欠損金はその後の利益(税務上の所得)から控除されますので、税額を圧縮することができます。銀行はその圧縮された税額分を傷ついた自己資本の回復に振り向けてきたといえます。
大手銀行が法人税の納付を再開するということは、不良資産を処理した以降の利益の累積額が、不良資産処理で生じた繰越欠損金の金額を超過したということになります。つまり、これでようやく名実ともにバブル処理が終了したといえるのです。

健全な融資機能の回復
考えてみればすごいことです。もはや歴史の教科書に載るような、はるか時代のかなたで発生したバブルによる不良資産処理に20年近くかかったのです。それだけ銀行が被った損失が巨額であったということと同時に、バブル崩壊以降の銀行の収益力の低さも物語ります。
現在のかつてない歴史的低金利に象徴されているように、銀行の収益力はバブル時代に比べれば格段に落ちていますから、以前のような産業界を支配する力はないといってもいいでしょう。それでも、中小企業にとっては銀行はやはり重要な存在であり続けます。
銀行がバブル処理に追われている間は、自分のことだけで手一杯で、貸倒リスクを極端に恐れる固い融資姿勢を取ったことも理解できます。そうした消極的な融資姿勢が日本経済を低迷させる、主因とまでは言わないにせよ、一因ではなかったかと思います。しかし、これでやっと傷ついた財務体質も正常に戻ったのですから、銀行も相応のリスクを取った健全な融資機能を取り戻して欲しいと願っています。

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