「虚脱感漂うインフレ目標」
黒田氏が日銀総裁就任時、自信満々に短期間で実現すると言っていた2%のインフレ目標はこれまで実現できませんでしたし、今後も当分達成が難しそうな状況です。ただ、海外に目を転じると、アメリカではコロナ禍からの景気急回復で6月は5%以上の物価上昇率を示し、FRB(連邦準備制度理事会)は金融緩和の解除も考え始めているといった報道や、木材や鉄などの資材価格上昇のニュースも伝えられてきており、少し様相が異なってきているように見えます。この辺で少し視点を変えて、インフレ(物価上昇)となる可能性も視野に入れておくのも必要なことかもしれません。
どういう形であれ長年苦しんできたデフレから脱却し、物価が上昇しさえすれば、それでオーケーかというと、そういうわけにはいきません。現状では物価の上昇がかえって、経済の足を引っ張る可能性が高いのではないかと私は思います。