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コラム : 経営

[経営] 一覧

「先送りではない、早めの決断」

新年を迎えましたが、GDP(国内総生産)は低迷し、アベノミクスも一種の曲がり角を迎えているように思います。本来、民間企業が独自に決めるべき設備投資や賃上げについて、政府が企業に要請するという官民対話に政府の焦りが感じられます。
というのは、こうした要請は市場と政府のどちらが賢いかという、古くからある既に決着済みの問題を蒸し返しているに過ぎないからです。どんなに優秀な政治家や官僚でも、市場で行われる資源配分以上に賢い選択はできないというのが資本主義社会での結論です。政府が直接に介入し、市場とは異なる資源配分をしても、良い結果はえられないだろうというのがコンセンサスだったはずです。そんなことは、関係者は百も承知でしょう。それでも、民間企業にこうした要請をせざるを得ないところに、行き詰まり感が表現されているように思います。
「デフレを止めるために金融緩和を行い、さらなる財政支出を行うべきなのか、あるいは今でも膨大な財政赤字を抱えているのだから将来のインフレを予防するために国債残高の圧縮に努めるべきなのか。」こうした問題についても、経済学は有効な処方箋を示すことができていません。
そうした中で、企業経営はどうあるべきなのか、考えてみましょう。

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「利益に対応した経営責任」

IFRS(国際会計基準)や米国会計基準の影響を受け、平成23年から日本でも上場企業に対して「包括利益」が導入されました。導入前にはその影響について盛んに議論されていましたが、導入後は新聞や経済誌でも、ほとんど話題に上ることはなく、従来通りの損益計算書ベースの利益分析に変わりはなく、包括利益はやや置き去りにされた感があります。
ただ、包括利益は経営者の経営責任概念について、従来の利益とは大きく異なっていることに注意しなければなりません。最終的には「経営者が負うべき経営責任とは何か」という経営哲学の問題に帰着します。

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「ROE一辺倒でいいのか」

最近、上場企業の財務指標としてROE(自己資本利益率)がとても注目されています。ROEは当期純利益を自己資本で割って算出し、株主から預かった資本の効率性を表現する指標ですから、株主が注目するのは当然です。「ROEが低い会社の取締役選任決議案に反対する」とか、「ROE10%以上を求める」といった記事が頻繁に見受けられます。経営者がROE向上に熱心になるのは当然ですが、ROEだけに執着するのは少し危険なように感じます。というのは、現状の雰囲気からするとROE重視は永遠に続くと思われるかもしれませんが、注目される財務指標は時代によって変わるからです。

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「社外取締役はROE、社内取締役は自己資本比率」

東証や政府が積極的に推進していることもあり、上場企業で社外取締役の導入が進んでいます。社外取締役が入ることにより、どのように会社は変わるのでしょう。

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「日銀とネット金融に追い込まれる銀行」

日銀の追加金融緩和が強力に進められています。金融緩和が企業に及ぼす影響は一様ではありません。金融緩和に伴う円安で交易条件が好転し潤う輸出業者がある一方、原材料が高くなり困っている輸入業者も増えています。目立たないのですが、その他に苦しくなる業界の一つに銀行があります。

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「稲盛哲学に見るデフレマインド」

総理も日銀総裁も「デフレマインドの払拭」を声高に訴えます。ことほどさように、近年はデフレマインドが諸悪の根源のように言われますが、私はビジネスにおいては、デフレマインドは必須の思考方法だと思っています。

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「安心を買う」

日本の会社は現金預金を貯めすぎると言われています。日銀が発表した資金循環統計によると、企業が保有する現預金の14年3月末の残高は232兆円と過去最高を更新しました。会社が眠らせている現金預金を積極的に投資に使うか、あるいは株主に還元すれば、日本経済は活性化するというのです。
現在、預金利率はほとんどゼロで、現預金を積み増すことの収益的メリットはありません。会社内で成長のための投資に回せない現預金は株主に返還しろ、というのが株主側の論理です。それに対し、「過少な内部蓄積では、将来、赤字を出したときすぐ破綻に追い込まれかねない」と反論しても、「赤字を垂れ流すような会社は市場から撤退すればいい」と軽く受け流されてしまいます。株式会社の原則からすれば、それはそのとおりなのですが、会社を株主ではなく、そこで働く社員の集合体として見ると、また違った姿が見えてきます。
 雇用の流動化が十分とはいえない日本では、これまで働いていた会社が倒産すると、社員は次の仕事を探すのは容易ではありません。社員の側からみれば、多少業績が悪くなっても、持ちこたえられる会社であって欲しいというのが正直な心情であり、会社に蓄積される自己資本とキャッシュは厚いに越したことはありません。それが安心できる会社です。それは単に社員だけのためではなく、自分の会社に安心感を持てるから、会社のために一生懸命働き、会社を成長させることにより長期的に株主にも報いることができる、というのが内部蓄積派の主張です。
 成熟経済に移行し、投資に使い切れない余剰キャッシュが出てくると、そのキャッシュを株主還元として社外に流出させるか、あるいは、まさかのときに備えて社内留保するかの二者択一を迫られます。株式市場は当然、株主還元を歓迎します。最近話題の社外取締役の拡大も、こうした議論と無縁ではありません。社員からの持ち上がりの取締役ばかりだと、不要に内部蓄積してしまうという懸念があるからです。

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「経営者個人保証の解除は進むか」

全国銀行協会と日本商工会議所などが、強制力のない自主ルールとして「経営者保証に関するガイドライン」を本年2月に策定しました。このガイドラインは銀行借入に付随する経営者(社長)個人保証の解除を目的としたものですが、我が国で長い間慣習として定着してきた観のある社長個人保証が減少していくのか注目されます。

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「キャッシュリッチな会社の悩み」

最近、キャッシュリッチな会社が増えています。キャッシュがたくさんあることは金持ちの象徴であり、「キャッシュが多ければそれでいいではないか、なんら文句をつけることではあるまい」といわれるかもしれません。個人であれば、自分で稼いだものをキャッシュとして貯め込むことに、誰も文句はつけられません。せいぜい「あいつはケチだ」とか「あいつの趣味は通帳の残高を見ることだ」といった陰口をたたくのが精一杯です。しかし、個人と会社は違います。

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「経営者の立ち位置」

経営者(取締役)は株主から委託を受けて、従業員を雇用して会社を経営します。経営者は、会社において株主と従業員の結節点に当たる存在といえます。経営者の立ち位置は株主と従業員の間にあることになりますが、その比重をどちらに置くかで経営は大きく変わります。

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