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【経営KEYWORD】「フィードバックのコツ」(『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』 リード・ヘイスティングス、 エリン・メイヤー著、日本経済新聞出版)

2022/01/18

組織や人材の成長にとって、上下関係や慣習に囚われず、仕事において感じたことを相手に率直にフィードバックすることはとても大切です。


フィードバックによって、仕事のレベルをより高めていく機会が生まれ、本人の学習の機会も生まれます。フィードバックが無ければ、その逆もまた然りです。
本心では、誰もが自分のしたことや行動に対してフィードバックを求めているということについて、多くの人が頷けるのではないでしょうか。


しかし一般に、フィードバックをすることは、軋轢を生むこと、相手を傷つけること、「空気を乱す」ことにもなりかねませんし、自分の考えが間違っているかもしれないという気持ちにも苛まれるでしょう。そのため、組織においてフィードバックをすることを躊躇してしまいがちです。


コロナ禍においても躍進し、全世界で1億人以上の契約者を有するオンライン動画配信サービスのNETFLIXは、組織作りを行ううえで重要な要素として、フィードバックを挙げています。とは言え、フィードバックをすることは、先に挙げたように人間の本性として躊躇してしまう面もありますし、率直に指摘することを許容することが逆に悪用されないようにも注意する必要があります。そこでNETFLIXでは、「4A」と呼ばれるフィードバックのガイドラインを設け、建設的なフィードバックを促進しています。


フィードバックにおける「4A」
1.(Aim To) Assist(相手を助けようとする気持ちで)
2.Actionable(行動変化を促す)
3.Appriciate(感謝する)
4.Accept Or Discard(取捨選択)


フィードバックをする
1.Aim To Assist(相手を助けようとする気持ちで)
自分のイライラを吐き出すため、相手を傷つけるため、あるいは自分の立場を強くするためにフィードバックをすることは許されない。
行動を変えることが相手自身、会社にとってどのように役立つのか、明確に説明する。


2.Actionable(行動変化を促す)
フィードバックはそれを受けたい相手がどう行動を変えるべきかにフォーカスすべき。「違うと思います」ではフィードバックとしては不十分だ。


フィードバックを受ける
3.Appriciate(感謝する)
批判されると自己弁護をしたくなる。反射的に自尊心を守ろうとする。フィードバックをもらったら、この自然な反応に抗い、「感謝を示し、真摯に耳を傾け、囚われない心で相手のメッセージを検討するにはどう振る舞ったらいいか」を自問しよう。


4.Accept Or Discard(取捨選択)
すべてのフィードバックに従う必要はない。受け入れるかどうかは本人次第だ。それはフィードバックを与える人も理解しておかなければならない。


いかがでしょうか。
フィードバックする、フィードバックされる、それぞれのシチュエーションに応じた原則を規定したものですが、4つの内、どれが欠けてもうまくいかないように思います。
社員同士のフィードバックがうまくいっていないと感じた場合、今回ご紹介した「4A」を意識 していただくと、フィードバックしやすい関係性が醸成されてくるのではないかと思います。ぜひ、取り入れてみてください。


(2022年1月あがたグローバル経営情報マガジンvol.36
「今月の経営KEYWORD」に掲載)

執筆者

前川 紳也Shinya Maekawa

あがたグローバル社会保険労務士法人 代表社員・特定社会保険労務士

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