2021年もあと残り10日ほどを残すのみとなりました。
今月の経営KEYWORDは、私が今年読んだ本の中でナンバー1だと確信している『ビジョナリーカンパニーZERO』から「与えたい気持ちにフタをするな」を選びました。
本書は、世界1,000万部超の販売実績を誇る『ビジョナリーカンパニー』シリーズの最新刊です。このシリーズの著者であるジム・コリンズが、メンターだったビル・ラジアーの教えの中から、起業家と中小企業のリーダーにとって参考になる事項をアップデートして取りまとめた内容が数多く盛り込まれています。ビジョンやリーダーシップ・スタイルについての内容はとても秀逸であり、人生や人間関係、価値観について書かれた内容も正に本質を突いています。
「すばらしい人間関係を見分ける方法はあるのですか」と著者がビルに問いかけた際、ビルは「2人に『この関係でどちらのほうが得をしているのか』と聞いて、両方が『自分』と答えるかどうかだ」と答えた、とあります。つまり、両方が何かを「得る」ためではなく、与え合っている関係であれば、どちらも豊かになった気がするのだ、というのです。また、人生における成功の真の評価基準は、「どれだけ有意義な人間関係を築くことができたか」、そして「自分のコアバリューにどれだけ忠実に生きることができたか」によって決まるとも言っています。
偉大な企業には社内外において素晴らしい人間関係がある。偉大な企業を育てるリーダーは、会社のビジョンを自らのコアバリューとして体現している。そして、リーダーは社員の理想の姿を思い描き、いずれ彼らがその理想に到達できるというゆるぎない確信を抱く。
だからこそ、リーダーは「与えたい気持ちにフタをするな」なのだと思います。社員に伝えたいメッセージも、ポジティブなフィードバックも、大切な働きかけも全て必要なのだとリーダーの背中を押しているように感じます。来年は目標を達成したい、そして自社をもっと成長に導きたいと願う全てのリーダーにとって、リーダーシップのあるべき姿を教えてくれる内容だと思います。是非、本書をご一読されますことをお勧めいたします。
2022年がより良い一年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。
今年一年、本当にありがとうございました。どうぞ良いお年をお迎えください。
(2021年12月あがたグローバル経営情報マガジンvol.33
「今月の経営KEYWORD」に掲載)