税務トピックスQ&A 9 月号
Q.懇親会や慰安旅行を再開しようと考えていますが、未だコロナの感染を心配する従業員も多いため、参加者が少なくなると想定されます。参加者が少ない場合には、会社が負担する費用は従業員に対する給与になるのでしょうか?
A.会社が負担するレクリエーション費用について、
「給与として課税されないためには従業員の半分以上が参加する必要がある」ということをよく耳にします。従業員等の参加割合が低いことのみをもって課税された事例は、公表されている裁判事例の中には見当たらず、私見になりますが、50%未満であることのみをもって直ちに課税されることはないと考えられます。
■ 従業員の参加割合の基準
50%という基準を示したものとして、『所得税基本通達 36-30(課税しない経済的利益・・・・・使用者が負担するレクリエーションの費用)の運用について(法令解釈通達)』があります。以下に引用します。
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使用者が、従業員等のレクリエーションのために行う旅行の費用を負担することにより、これらの旅行に参加した従業員等が受ける経済的利益については、当該旅行の企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額及び負担割合などを総合的に勘案して実態に即した処理を行うこととするが、次のいずれの要件も満たしている場合には、原則として課税しなくて差し支えないものとする。
(1) 当該旅行に要する期間が 4 泊 5 日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数による。)以内のものであること。
(2) 当該旅行に参加する従業員等の数が全従業員等
(工場、支店等で行う場合には、当該工場、支店等の従業員等)の 50%以上であること。
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この通達は旅行費用に関するものですが、これによると、参加割合が職場単位で 50%以上である場合には、課税しなくて差し支えないとされていますが、50%未満の場合に課税するとはなっていません。
現在、コロナの感染防止の観点から、行政から少人数の会食が推奨され、職場単位で 50%以上の従業員等が参加しての懇親会の開催が難しい状況にあり、参加者が少ない懇親会の費用を会社が負担すると課税されるのではないかと懸念されます。しかし、コロナ感染を心配する人に配慮して少人数グループで複数回の懇親会や旅行を計画するなど、従業員等に等しく参加機会が与えられているような場合には、職場単位の参加割合が 50%を下回ったとしても、他の基準に照らし職場のレクリエーションであるとされれば、課税する必要はないと考えられます。
■課税されるかどうかの判断基準
では、他にどのような判断基準があるのかというと、まずは、少額の現物給与については課税しないという 考えがあるので、金額が多寡を検討します。そのうえ で、企画立案、主催者、旅行の目的・規模・行程、従 業員等の参加割合・使用者及び参加従業員等の負担額 及び負担割合などを総合的に勘案して、私的な行事で あるか、会社が主催する福利厚生行事であるかを判断 することになります。
コロナの影響で経済活動がこれまでとは大きく変化していますが、旅行や懇親会などの福利厚生行事も例外ではありません。これまでの基準が当てはまらないような事象では、過去に裁判で示された基準などを参考に、実態に即して判断することが重要で、後日、説明できるように根拠資料を整えておくことが必要です。