税務トピックスQ&A 11 月号
Q.消費税の適格請求書発行事業者の登録が令和3年10月1日から始まりました。この登録制度の概要と適格請求書等保存方式が導入されるまでに準備しておくことについて教えてください。
A.消費税の納税義務者となっている事業者は、顧客等より預かった課税売上に係る消費税額から仕入業者等に支払った課税仕入に係る消費税額を控除して、その差額を税務署に納税することになっています。この消費税額の控除は、令和5年10月1日以後の取引から、適格請求書を保存しているものに限り認められることになります。なお、一般消費者からの中古品の仕入れや自動販売機による商品の購入など、適格請求書が発行されない場合については、所定事項が記載された帳簿のみを保存することで仕入等に係る消費税額を控除することができるよう手当されています。
■適格請求書
適格請求書とは、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝えるため所定の事項が記載された請求書や納品書、領収書などをいいます。
■ 適格請求書発行事業者登録制度
この適格請求書を交付できるのは適格請求書発行事業者に限られます。適格請求書発行事業者となるためには、税務署長に「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。なお、登録を受けることができるのは消費税課税事業者に限られますので、免税事業者がこの登録を受けるためには、事前に「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、消費税の課税事業者になっておく必要があります。
「適格請求書発行事業者の登録申請書」の提出は、令和3年10月1日から受付が開始されていますが、適格請求書等保存方式が導入される令和5年10月1日から登録を受けるためには、原則として令和5年3月31日までに提出する必要があります。
適格請求書発行事業者の登録申請書の提出後、審査に時間を要するため、早めに提出してください。
■ 適格請求書発行事業者の義務等
適格請求書発行事業者は原則として、軽減税率対象品目を販売するか否かにかかわらず、取引の相手側の求めに応じて適格請求書を交付する義務及び交付した適格請求書の写しを保存する義務があります。適格請求書には以下の事項を記載しなければなりません。
① 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び 登録番号
② 取引年月日
③ 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④ 税率ごとに区分して合計した対価の額 (税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤ 消費税額等
⑥ 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
なお、不特定多数の者に対して販売等を行う飲食店や小売店等については、記載事項の⑥を省略した「適格簡易請求書」を交付することができます。
■ 留意事項
免税事業者からの仕入れに係る消費税の控除については、適格請求書等保存方式導入後、一定期間、一部を控除することができる経過措置が設けられています。その間、消費税の取扱いが煩雑になりますので、制度をしっかりと理解して、経理処理を行う必要があります。
また、適格請求書の記載事項は、現行の区分記載請求書の記載事項と異なりますので、現在お使いの請求書等の発行システムの仕様を変更する必要がありますので、こちらも早めの対応が必要です。