税務トピックスQ&A 8 月号
Q.太陽光発電事業を行っている場合の法人事業税の課税方式が改正されたと聞きました。その概要と留意事項について教えてください。
A.従来、法人事業税の申告において、電気供給業については「収入金額」に税率を乗じて税額を計算する収入割を申告することとされていましたが、税制改正により、令和 2 年 4 月 1 日以後開始事業年度においては、電気供給業のうち電気事業法に規定する小売電気事業及び発電事業等(太陽光発電事業は発電事業に該当します。)を行う場合には、収入割と併せ、当該事業に係る「所得金額」に税率を乗じて税額を計算する所得割を申告することになりました。なお、資本金又は出資金の額が 1 億円を超える法人(外形標準課税対象法人)は所得割に代えて付加価値割と資本割を申告します。
収入金額の計算方法
収入金額は、収入すべき金額から控除すべき金額を差し引いた金額になります。
収入すべき金額とは、各事業年度において収益として計上される金額で、電気供給業に区分されるすべての収入を含みますので、売上高のみならず営業外収益、特別利益に区分される収入も含めることになります。
一方、控除すべき金額とは、収入すべき金額に計上したもののうち、国又は地方団体から受けとった補助金や固定資産の売却による収入、保険金など、法令等に規定された金額をいいます。
所得金額の計算方法(小売電気事業及び発電事業のみ)
法人税の所得の計算と同様に、企業の損益計算を基
礎として、法人税法上の一定の調整を行って、所得金額を計算します。
繰越欠損金の取扱いについて
これまで太陽光発電事業を行っていた法人がこの税制改正の適用を受け、その事業に係る所得金額を算定する場合には、令和 2 年 4 月 1 日以後開始事業年度の開始の日前 10 年以内に開始する各事業年度において、その事業に係る所得を、前述の所得金額の計算方法により算定していたものとみなされます。つまり、過去 10 年の間に太陽光発電事業において欠損金が生じており、その後の事業年度の所得金額を控除してもなお欠損金の残額がある場合には、その金額を令和 2年 4 月 1 日以後開始する各事業年度の太陽光発電事業の所得金額を計算するうえで控除することができます。
太陽光発電事業とその他の事業を併せて行う場合
太陽光発電事業とその他の事業を併せて行う場合には、それぞれの事業部門ごとに、収益及び費用を区分し、それぞれに所得金額を算定する必要があります。なお、従たる事業が主たる事業に比べて軽微なものである場合には、従たる事業を主たる事業のうちに含めて、主たる事業に対する課税方式によって、所得金額及び税額を計算することができます。つまり、太陽光発電事業が軽微であれば、それ以外の主たる事業に含めて所得金額及び税額を計算することができます。
申告手続きについて
収入金額の計算、太陽光発電事業とその他の事業を併せて行う場合の区分計算の要否の判断や区分計算方法には、細かいルールが多くあります。また、改正後の最初の事業年度においては過去の欠損金を確認する必要もあります。長野県のホームページに、事業税の手引きや「電気供給事業を行う法人の所得金額等の算定に係る区分計算書」(令和 2 年 4 月 1 日以降開始事業年度~)が公表されていますので、これらを参考にしながら、また、専門家とも相談しながら申告を行ってください。