「税務トピックスQ&A 12月号」掲載
Q.コロナが終息し、対面での接待や会食などが増えてくると思われます、そこで接待交際費、特に飲食費等の取扱いについて、法人税を計算するにつき注意すべきことについて教えてください。
A.■交際費等の概要
交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人がその得意先、仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものを交際費等といいます。
交際費等は、事業と直接の関連がある限り損金の額に算入されるべき性質のものでありますが、支出する交際費等の中には事業との関連性が少ないものもあります。また、交際費等の損金算入を無制限に認めると、冗費、濫費を増大させるおそれがあるため、資本金が1億円を超える法人については、交際費等の損金算入が認められていませんでした。しかし、経済の活性化を図ること等を目的として、平成26年度の改正で、接待飲食費の50%に相当する金額以下の部分の金額の損金算入が認められています(資本金等の額が100億円を超える法人には、適用されません。)。
なお、資本金が1億円以下の中小法人(資本金5億円以上の法人等による完全支配関係がある法人を除きます)については、上記の適用か、交際費等の額のうち、年額800万円(定額控除限度額)までの損金算入とのいずれかを選択適用できます。
■接待飲食費について
接待飲食費は、交際費等のうち食堂などでの飲食費用(社内飲食を除く)であり、飲食費であることにつき、飲食があった年月日、参加した得意先など、一定の事項が帳簿書類に記載されたものをいいます。
■交際費から除かれる、5,000円以下の飲食費
飲食費のうち、その支払額が1人当たり5,000円以下のものについては、飲食のあった年月日、得意先等の氏名やその関係、参加者数など一定の事項を記載した書類を保存することにより、交際費等から除くことができます。
この規定の飲食費には、飲食店において取引先等を接待することのほか、取引先等の行事等の開催に際して、取引先等が飲食することを想定した弁当などの差入れ等も含まれます。また、飲食に付随する費用(接待後、飲食店から提供されるお土産など)も含まれます。これに対して、お中元、お歳暮などの贈答で飲食物に要する費用や、取引先等を飲食店等へ送迎するための費用などは、この規定の飲食費には含まれません。
なお、ゴルフや旅行など飲食を含む接待をした場合の費用のうち、飲食費だけを抽出して、この規定の取扱いを受けることはできません。
■交際費に含まれる消費税
①5,000円以下の飲食費、800万円の定額控除限度額の計算に際しては、税込経理をしている場合は、消費税分を含めた金額、税抜経理をしている場合は、消費税分を除いた金額で計算します。
②インボイス制度導入後、税抜経理をしている場合、免税事業者等との取引対価に消費税額相当額含めて、5,000円以下の判定をすることとなります。ただし、経過措置として一定割合を仕入税額とみなして控除することができるため、令和8年9月30日までは控除される消費税額は80%となり、20%分は対価に含まれ、判定金額は、税抜4,902円となります。
■最後に、交際費等の要件を満たしていない個人的な支出等を交際費処理した場合、重加算税の賦課基準である仮装隠蔽とされることがありますので注意してください。