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数値計画としてのKPI(重要業績評価指標)

2024/11/12

「経営トピックスQ&A 2024年11月号」掲載


Q.来期、当社の経営計画を確実に達成するために、単年度の数値計画を策定したいと思います。より実効性を高めるためにはKPI(重要業績評価指標)を活用すると良いと聞きました。KPIとはどのようなものでしょうか。概要を教えてください。

 

A.■KPIとは何か

 KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、会社が経営計画を達成するために必要な数値として設定した指標をいいます。具体例としては、新規契約数、顧客数、顧客単価、不良品率及び一人当たり売上高等の指標があります。KPIが達成できれば、最終的に達成したいゴールである年間の売上高や経常利益に辿り着けるような指標を設定することで、各部署がやるべきことを明確にすることが可能となります。


■PDCAサイクルとKPI

 企業経営において、ありたい姿を表した経営計画を策定し、確実に達成するためにはPDCAサイクル(計画・実行・評価・改善のプロセス)を実行することが大切です。C(評価)においては実績値と計画値とを比較してA(改善)への軌道修正を行います。その際にKPIについても比較することで、より行動に結びついた軌道修正が可能となります。PDCAサイクルを確実に回していくためには、現状とのギャップを把握し、そのギャップをどうするかを検討することが大切です。アメリカの統計学者であるW.E.デミング氏は「測定できないものは管理できない」という言葉を残していますが、計画達成のためには定量的に管理するためのKPIを持つことが重要となります。


■KPIの事例(飲食業)

 例えば、売上高を顧客数×客単価に分解するとします。顧客数は昼(ランチ)と夜(ディナー)に区分することができ、夜の顧客数増加にはウェブ予約を増やす必要があると仮定します。そのためにはウェブサイトの閲覧数を増やすためのウェブページの充実や予約率を引き上げるだけの魅力的なコースメニュー作りなどが必要だと導き出されます。

 一旦KPIが決まったら現状把握を行い、どこまでを目指すかを決め、シミュレーションします。

 KPIを達成するためには実際に行動することが必要となりますが、このKPIが売上高の増加や経常利益の増加に結びついているかを検証することで、行動を見直すきっかけになります。


■KPI設定にあたっての留意事項

 KPIは、収益性に関連した指標のみではなく、会社全体の安全性に関するKPI(例:自己資本比率など)や、生産性に関するKPI(例:一人当たり売上高など)を設定することもあります。多面的に検討した上で、会社のありたい姿に即したKPIが設定できれば、何を目指して取り組むかが明確化でき、人の行動へと通じるものになり得ます。

 貴社にとって実効性のある的確なKPIとは何かを是非検討してみていただきたいと思います。

執筆者

小林 藤子Fujiko Kobayashi

マネージャー・中小企業診断士

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