●はじめに
インボイス制度の導入から数年が経過しましたが、今回の税制改正により売手側・買手側の双方に再び影響が生じます。
特にご注意いただきたいのが、令和8年9月末に迫った2割特例の終了です。これに伴い、実質的な税負担がこれまでより増加するケースもあるため、事前の対策が欠かせません。今回は、目前に迫った税制改正のポイントと実務での注意点を売手側・買手側それぞれフロー形式でご確認いただけるようにしておりますのでご活用ください。
●改正内容
・売手側の改正:2割特例の終了と3割特例の新設
令和8年9月末をもって2割特例が終了します。法人は本特例の適用はなくなり、個人事業者には新たに3割特例が設けられます。
・買手側の改正:経過措置割合の変更と1億円制限
免税事業者等からの仕入税額控除のスケジュールが以下のように緩和・延長(7割・5割・3割控除)されます。
7割控除:令和8年10月1日~令和10年9月30日
5割控除:令和10年10月1日~令和12年9月30日
3割控除:令和12年10月1日~令和13年9月30日
控除不可:令和13年10月1日~
しかし、同一の相手先からの年間仕入額が税込1億円を超える場合、超えた部分についてはこの経過措置が使えなくなります。
●判定フロー
【売手側】
【STEP 1】免税事業者等からインボイス発行事業者になりましたか?
・NO:今回の税制改正で影響はありません。
・YES:STEP 2へ
【STEP 2】 法人ですか?
・YES:2割特例は令和8年9月末で終了するため、有利不利の判定が必要となります。(原則or要件を満たす場合は簡易課税)
・NO:STEP 3へ
【STEP 3】新設の3割特例(令和9年分〜)を適用しますか?
・YES:納付税額は売上税額の30%となります。
・NO:STEP 4へ
【STEP 4】納税額のシミュレーションが必要となります。
※小売業(売上税額80万円、第2種:みなし仕入率80%)
・簡易課税
80万円− (80万円×80%)=16万円
・3割特例
80万円−(80万円×70%)=24万円
→今回の事例の場合には簡易課税の方が有利となり、期限内に消費税簡易課税制度選択届出書の提出が必要となります。
※設備投資等を加味する必要があるため、必ず担当者へご相談ください。
【買手側】
【STEP 1】
・免税事業者等からの課税仕入れがありますか?
・NO:今回の税制改正で影響はありません。
・YES:STEP 2へ
【STEP 2】同一の相手先からの年間仕入額が税込1億円を超えますか?
・NO:経過措置が適用可能です。
・YES:超えた部分は経過措置(7・5・3割控除)適用不可となります。
国税庁インボイス特設サイト https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
●まとめ
- 2割特例は令和8年9月末で終了
- 令和9年からは3割特例が適用可能(法人は3割特例の適用なし)
- 税負担増加に備え、簡易課税適用時の有利不利の検討が必要
- 免税事業者等からの仕入税額控除経過措置は令和13年9月30日まで延長適用
- 同一の相手先からの年間仕入額が税込1億円を超える分の仕入税額控除が不可(年間またはその事業年度)
- 1億円超の取引の可能性がある仕入先の抽出と管理が必要
ご不明な点がございましたら、担当者までお気軽にご相談ください。