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ハイリスク・ハイリターンのレバレッジ経営

「レバレッジ経営」という言葉を以前はよく耳にしましたが、最近は余り聞かれなくなりました。レバレッジ経営が流行らなくなったのは時代の変化が色濃く反映しています。まず、レバレッジとは何かということから説明します。

レバレッジとは
<図表>のA社とB社は資産の状態がまったく同じです。しかし、資金の調達状況が違います。A社は自己資本比率80%で、B社は20%です。資産の状態は同じですから企業価値は変わりません。この状態で株式を購入したとします。投資家にとっての最大関心事は株価の動向、つまり株主価値の上昇割合です。それがA社とB社でどのように変わるか見てみます(株主価値は自己資本と同じだとします)。
当初の企業価値は両社とも100で、株主価値はA社が80、B社が20です。ここから両社の企業価値が50増大したとします。資産の状態は同じですから、企業価値も同じだけ増加します。その結果、企業価値は両社とも150になります。企業価値が増えても、負債は確定しており変動しません。株主価値は企業価値から負債を控除して算出されますから、株主価値はA社が130、B社が70になります。企業価値の増加分50はそのまま株主価値の増加として実現します。増加額はA社もB社も変わりません。しかし、その増加率を見ると、A社は130÷80=1.625倍、B社は70÷20=3.5倍と全然違います。したがって、当初購入時点からの株価の上昇率もB社の方が高くなります。ここでは企業価値が上昇する場合を取り上げましたが、下落する場合もB社の自己資本比率の小さい方が下落率が大きくなります。
レバレッジとは「てこの原理」のことをいいます。つまり、レバレッジ効果とは、負債という「てこ」を使い、自己資本(株主からの預かり財産)をより大きく増大させることをいいます。

レバレッジ経営が広がらない
レバレッジが効果的に機能するには、金利が低くなければなりません。現在は未曽有の低金利ですから、金利面ではレバレッジ経営に適した環境のはずです。しかし、上場企業の借入金は減少傾向にあり、レバレッジ経営からは逆に離れる傾向にあります。レバレッジ経営が広がらないのは、低金利メリットを上回るデメリットが存在しているからです。それはどんなに低金利で資産を拡大しても、低成長下では拡大した資産を有効に活用する収益機会が見出しにくいにもかかわらず、負債の増加は倒産リスクを確実に高めるからです。
レバレッジ経営はハイリスク・ハイリターン経営であり、ハイリターンにスポットが当たる好況時には向いていますが、ハイリスクを警戒しなければならない景気低迷期には適したものではないといえます。図1.jpg

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