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「本当に黒字倒産なのか」

「黒字倒産」という言葉がありますが、常識的に考えると違和感がある言葉です。儲かっている会社は倒産しないはずですから、"黒字"と"倒産"は本来両立する言葉ではないように思うからです。"黒字"か"倒産"のどちらかが間違いなのかもしれません。

<ケース1>本当の黒字倒産
 倒産は損益計算書で計算される利益とは関係ありません。倒産とは約束した債務を支払えない状況ですから、支払期日に支払金額に相当するキャッシュがなければ倒産してしまいます。  
 たとえば、以下のような損益計算書と貸借対照表を持つ会社があったとします。

<損益計算書>         <貸借対照表>
売上高    200     売掛金  200   買掛金    100
売上原価   100               純資産    100
当期純利益  100               (当期純利益 100)

 これを見る限り、利益は上がり純資産もあり、何の問題もない会社だと思っても不思議ではありません。しかし、問題は売掛金と買掛金の支払期日です。この会社の資産は売掛金だけですから、買掛金を支払うには売掛金が現金化されなければなりません。ところが、買掛金の期日が4月末日なのに売掛金の期日が5月末日だったとしたら、買掛金の支払いができなくなってしまいます。これが黒字倒産です。
 しかし、本当にこのような形で黒字倒産するとすれば、関係者は愚かです。この例でいえば、銀行は4月末に決済資金100を融資しても、5月末には200の売掛金が回収できるのですから、銀行の融資金回収に問題ありません。この場合、"黒字"は正しく"倒産"が間違いです。こうした会社は倒産させてはいけません。
 こんな道理が分からない銀行と、銀行を説得できない経営者がいるとすれば、大いに糾弾しなければなりません。しかし、話はこれで終わりではありません。黒字倒産と言われるものの第2のケースが考えられます。

<ケース2>粉飾の黒字倒産
 損益計算書の黒字あるいは貸借対照表の自己資本がまやかしの場合です。損益計算書の利益が粉飾によるものだとすれば、売掛金を額面どおり回収することは不可能ですから、銀行は融資できません。あるいは、損益計算書の利益は正しいとしても、土地などの資産に含み損があり実質債務超過であれば、やはり融資金の返済財源は不足しますから、銀行は融資を渋るでしょう。こうなると、倒産もやむなしといえますから、この場合は"倒産"が正しく、"黒字"が間違いだといえます。

 <ケース2>の粉飾は論外であり、救いようがありませんが、<ケース1>の場合は倒産させてはいけません。そのためには、損益だけでなく、資金管理(資金繰り)が重要になります。損益と資金管理は経営の両輪です。そのことを経営者は再認識しなければなりません。

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