ホーム > コラム > 井口 秀昭

コラム

「ROEから自己資本比率へ」

 注目される経営指標はいつも同じではなく、安定している時と危機の時では視点が異なります。現在はコロナ禍に伴う戦後最大級の危機ですから、危機乗り切りの視点からの経営指標にスポットが当たります。

続きを読む

「危機になるほど注目度が高くなる手元流動性」

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済活動の停滞は深刻です。ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正社長は「戦後最大の人類の危機」とその深刻さを強調しました(2020年5月25日付日本経済新聞)。
 売上半減どころか、8割、9割減の企業も珍しくないような状況です。通常の売上のほとんどが失われれば、企業は資金繰りに窮し、存亡の淵に立たされます。そうした企業において、焦点があたるのは当面の支払い能力である流動性です。流動性の概念には幅がありますが、危機が深まるにつれ、焦点が当たる流動性の範囲は狭まります。

続きを読む

「今注目される"まさか"のためのキャッシュ」

 新型コロナウイルスの感染拡大により緊急事態宣言が出されました。その結果、経済活動が極端に抑制され、存亡のふちに立たされる企業が多くなっています。そんなとき頼りになるのはキャッシュです。

 近年の日本企業は、内部留保により蓄積されたキャッシュの使い方が課題だといわれていました。内部留保は、株主が自分のカネを投じた払込資本と会社が事業で稼ぎ出す利益剰余金から構成されます。ただ、内部留保という時、一般的に意識されるのは後者の利益剰余金であることから、ここでは利益剰余金の蓄積を内部留保として扱います。
 事業で利益を上げると、最終的にキャッシュが積み上がります。内部留保により蓄えられたキャッシュの利用方法は主として次の3つが考えられます。成長に向けた投資と株主還元、そしてまさかのために備える準備資金です。この3つはいつも同様に語られるわけではなく、局面に応じて注目度が異なります。そして、非常時にある今、準備資金としてのキャッシュに俄然注目が集まっています。

続きを読む

「平常時のスリム化と非常時のキャッシュ」

 新型コロナウイルスの影響は日々深刻化しています。経済活動へのインパクトも無視できないものになってきています。企業経営でも平常時モードから非常時モードへの切り替えが必要ではないかと思います。

続きを読む

「役員と従業員の賃金格差拡大」

 上場企業の役員報酬と従業員の賃金格差が拡大しています(2020年1月25日付日本経済新聞)。2018年度の有価証券報告書を分析したところによれば、賃金格差は4.2倍となり、前年度比0.1ポイント増加し、4年連続の拡大となったそうです。
 消費低迷の主因は労働者の賃金が伸びないことにあると言われている中で、賃金格差が拡大しているのですから、役員報酬は増大していることになります。なぜ、一般従業員の賃金は伸びないのに、上場企業の役員報酬だけは増加するのか、何か釈然としないものが残ります。

続きを読む

「客観性のある過去か、主観的な未来か」

 金融庁が金融検査マニュアルを廃止することに対し地方銀行が困惑している、との報道がありました(2019年12月5日付け日本経済新聞)。というのは、これまで銀行の利益に大きな影響を与える貸倒引当金の設定は金融検査マニュアルに基づいて行われているのに、その基準となる金融検査マニュアルが廃止されてしまうと、引当金の設定の指針がなくなってしまい判断が難しくなるからだというのです。金融庁の狙いとしては、金融検査マニュアルを廃止し、画一的な貸倒引当金設定ルールを見直し、引当金の設定を銀行ごとに柔軟にできるようにしたいとのことです。

続きを読む

「見直されるべきノンリコースローン」

 スルガ銀行の不正融資問題が決着に向けて動き出したようです。その決着の方法は我が国の金融業界におけるローンのあり方に一石を投じているにように思います。

続きを読む

「口座維持手数料が与えるインパクト」

 日銀が進めているマイナス金利政策が民間銀行を苦しめています。だからといって、日銀はマイナス金利政策を止める様子はなく、場合によってはその深堀もあり得るとアナウンスしています。
 マイナス金利政策による収益悪化の対応措置の一環として、民間銀行は預金口座に口座維持手数料をかけるのでないか、という話がささやかれるようになっています。実際、預金者に口座維持手数料を負担させるまでにはかなり高いハードルがあると思いますが、マイナス金利の深堀が本当に行われれば、民間銀行も背に腹を変えられず、これまで禁断とされてきた口座維持手数料に手を付けざるを得ないかもしれません。もし、口座維持手数料を本当にかければ、預金者はどのように動くか考えてみたいと思います。

続きを読む

「関西電力の金品受領問題から考えるトップの資質」

 関西電力の会長、社長をはじめとした会社幹部が原子力発電所の立地自治体の元助役から多額の金品を受領していたことには、本当にあきれてしまいました。多い人は1億円を超えた金額を受領していたというのですから、関西電力役員陣の倫理観の欠如には驚くほかありません。
 この金品の受け取りが犯罪にあたるかどうかは分かりませんが、ある特定の人物から多額の金品を受け取っていた(しかもその原資が原発関連マネーだとすればなおさらですが)ということだけで、経営倫理的にはアウトです。彼らは関西電力及び原子力発電に致命的打撃を与えたといってよいでしょう。
 この一件を引き起こした主要因は、関西電力特有の問題にあることは言うまでもないのですが、本稿ではそうした企業の個別問題は脇に置き、一般企業が教訓とすべきことは何なのか考えてみたいと思います。

続きを読む

「消費の最適解が分からない」


 10月から消費税率がアップしますが、税率アップに伴い生じると予想される消費低迷に備えて、政府は様々な消費喚起策を用意しました。果たして、こうした施策が政府の思惑通り消費を喚起するのかが注目されますが、私は消費の盛り上がりは期待できないのではないかと思っています。一般的には、実質賃金が上がらないとか、年金が不安だとかいった経済的要因に焦点が当たると思いますが、私がここで注目したいのは、消費を喚起すべく導入した政策そのものが引き起こすであろう混乱に伴う消費低迷です。

続きを読む
1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11
このページの先頭へ