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コラム

「テレワークで問い直される経営方針」

 コロナの感染拡大に歯止めがかからず、首都圏を中心に、テレワークの拡大が求められています。行政からの出勤削減要請は7割減でしたが、この水準は小手先のやりくりでどうにかできるレベルではありません。仕事全体をゼロベースでたな卸し、それぞれの業務がテレワークで対応可能かどうか、徹底的に見直す必要があります。逆に言えば、こうしたことがなければ、その効率性を検証することなく、惰性で行っていた仕事を洗い直すいい機会だととらえることもできます。
 従来、私は、テレワークの拡大は単なる仕事のやり方の変更に過ぎないと思っていたのですが、最近は、もっと根源的な経営の根幹を問い直すものになるのではないかという風に感じています(以下では、オンラインによるテレビ会議及びテレビ営業を含めたものをテレワークと称します)。

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「虚脱感漂うインフレ目標」

 黒田氏が日銀総裁就任時、自信満々に短期間で実現すると言っていた2%のインフレ目標はこれまで実現できませんでしたし、今後も当分達成が難しそうな状況です。ただ、海外に目を転じると、アメリカではコロナ禍からの景気急回復で6月は5%以上の物価上昇率を示し、FRB(連邦準備制度理事会)は金融緩和の解除も考え始めているといった報道や、木材や鉄などの資材価格上昇のニュースも伝えられてきており、少し様相が異なってきているように見えます。この辺で少し視点を変えて、インフレ(物価上昇)となる可能性も視野に入れておくのも必要なことかもしれません。
 どういう形であれ長年苦しんできたデフレから脱却し、物価が上昇しさえすれば、それでオーケーかというと、そういうわけにはいきません。現状では物価の上昇がかえって、経済の足を引っ張る可能性が高いのではないかと私は思います。


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「平時の無駄か、非常時の備えか」

 新型コロナ感染拡大に伴い、業種によって濃淡はありますが、企業は大きな打撃を受けています。直撃された業界にとっては、現在は非常時にあります。企業は非常時においてその耐久力が問われます。非常時の耐久力には平時の備えが必要になりますが、過度な備えは無駄につながります。「無駄なのか、備えなのか」、経営はいつの時代もそのバランスが問われます。

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「ダイナミックプライシングの功罪」

 国土交通省が、利用時間帯によって鉄道運賃に差をつける変動運賃制について検討しているとの報道がありました(2021年6月2日付け日本経済新聞)。これは「ダイナミックプライシング」という価格設定の方法です。提供する商品の需要状況の違いによって、販売価格を機敏に変動させ、利潤を極大化させようとするのがダイナミックプライシングのねらいです。ITの進化で、そんなことも可能になったのだと感心するところもあるのですが、経済的には望ましくても社会的には必ずしも正しいものではないというところが悩ましいところです。

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「トリクルダウンは起きなかった」

 4月28日に行われたバイデンアメリカ大統領の初の議会演説が話題を呼んでいます。その中でも、私が特に注目したいのは「トリクルダウン経済はこれまで一度も機能したことがなかった」という言葉です。この言葉はこれまでの税制の流れを一変させるインパクトを有しています。

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「なぜ、マクロ的経済政策が効かなくなってきたのか」

 経済学ではかつて、一国の経済成長は財政や金融などのマクロ的経済政策でコントロールできるとするケインズ流の経済学が支配的でした。確かに、戦後の高度成長期頃まではマクロ的経済政策は有効に機能していました。しかし、1980年代からバブル崩壊後の1990年代以降、マクロ的経済政策の有効性に疑念が生じてきています。こうした事態は当初は日本特有の現象かと思われていたのですが、意外と普遍的なものと認識されるようになり、「低成長、低インフレ、低金利」を特徴とする日本化は先進国共通の課題になりつつあります。日本は少子高齢化だけではなく、この分野でも世界のトップランナーとなっています。

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「見直しが必要な金融政策と株価」

 2月に日経平均株価が3万円を超え、30年ぶりということで大きな話題になりました。その後も、日本だけではなくアメリカでも、株価の堅調は続いています。一方、実体経済を見ると、新型コロナの感染拡大で緊急事態宣言が延長されるなどして、GDPは落ち込み、とても好調な経済とはいえません。
 こうした実体経済と懸け離れた好調な株価の見方には2通りの意見があります。一つは、株価は将来キャッシュフローの現在価値を示すものであり、現在の株高はコロナ禍後の将来の経済回復を見込んでいるからだ、というものです。もう一つは、株価は経済実体とは離れたカネ余りによるバブルだ、という見方です。前者であれば、株価の堅調は続くでしょうし、後者のバブルという見方に立てば、早晩調整局面が訪れることになります。

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「重要固定資産売却に際しての会計上の着眼点」

 コロナ禍で業績が悪化する企業が多くなっている中で、本社ビル等の大型の自社所有資産売却のニュースが目立っています。昨年12月にはエイベックスが青山にある本社ビルの売却を発表し、本年の1月には電通が新橋の本社ビルを売却する、との報道がなされました。業績悪化時における、重要な固定資産売却の際の着目ポイントについて考えてみたいと思います。
 エイベックスが昨年12月24日に発表した「固定資産の譲渡及び特別利益計上に関するお知らせ」のニュースリリースに沿って検証していきましょう。
 着目ポイントは売却代金の使途と売却益計上の効果及び今後の損益、キャッシュフローへの影響になります。

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「コロナ禍が終われば元に戻るのか」

 新型コロナの感染拡大はビジネスに大きな打撃を与えています。ただ、ビジネス側の打撃の受け方は一様ではなく、感染拡大が収束した時、元に戻るものと戻らないものがあります。コロナ禍は、いつかは分かりませんが、必ず終わりが来ます。その終わりが来た時に備え、自分の会社が受ける打撃の態様を見極め、対策を練っておかなければなりません。

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「事業性資産担保の危うさ」

金融庁は銀行による中小企業の事業支援を促す融資改革の議論を始めた、との報道がありました(2020年11月5日付日本経済新聞)。これまでの不動産担保や経営者の個人保証に偏った融資慣行を見直し、企業の技術や顧客基盤など無形資産などを一括で担保にできる制度作りを目指す、ということです。こうした制度改革により、銀行が企業の将来性を評価して資金を出しやすくすることで、経済の再生を後押しすることを狙いとしています。
  従来の銀行融資の主たる担保は、土地や有価証券など目に見える有形資産でした。有形資産を保有するのは昔からの老舗企業が多くなりますから、有形の資産はないが、技術力はある新興企業は融資を受けにくくなります。この点が旧来の金融の問題点として、かねて指摘されており、そうした点を改善しようというのが今回の議論の出発点です。
  このように聞くと、企業が行っている事業に付随する無形資産を担保にした融資は金融の新境地を切り開く、素晴らしい施策のように思えますが、実現はそう簡単ではないでしょう。その理由は巷間言われているように、銀行員が事業性資産の評価を行うことの難しさや対抗要件の具備といった法律的問題もあるでしょう。ただ、そうした評価や法律的問題は難しくはあっても、突き詰めればテクニカルな問題であり、事業性資産担保が当該企業、地域、あるいは銀行のためになるなら、関係者は努力して、その困難を克服すべきです。私がここで懸念するのは、そうした問題とは別に、担保に関する以下のような本質的矛盾の存在にあります。

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