「経済成長を抑制する消費形態の変化」
安倍政権の経済政策の第一の目標は成長の加速ですが、経済成長を端的に示す指標であるGDP(国内総生産)も物価上昇率も当初期待していたほどには高まりません。その原因をもっぱら消費税増税等の経済政策の不備に求める考え方も存在しますが、私は経済構造の変化も大きな要因ではないかと思っています。経済構造の変化でよく言われるのは、人口減少や技術革新の問題などですが、ここでは消費形態の変化に着目してみましょう。
かつては、モノを消費するためには、専門の事業者から新品のモノを購入して、個人の占有物とすることが暗黙の前提でした。ところが、現在では、その暗黙の前提が崩れかけています。モノを1人で占有するのではなく共同で借りたり、あるいは、売買や賃貸の当事者も事業者だけではなく、消費者も台頭するなどして、実に多様化しています。ネットの普及がそうした消費形態の多様化を後押しします。そして、それが数字で表現される経済成長を低める要因となっているのです。