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インフレが止まらず、賃金上昇率は物価上昇率を下回り、実質賃金はこの8月で17か月連続マイナスとなり、生活を圧迫しています。価格が上昇するメイン品目は日々購入しなければならない食料品や日用品なので、体感のインフレ率は政府の公式発表より厳しいように感じます。 にもかかわらず、物価を制御する役割にある日銀は相変わらず金融緩和姿勢を崩しません。日銀の言い分は、物価と賃金がともに上昇する「好循環のインフレ...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
個人の経済活動は2つの要素に分けることができます。一つは生活者としての消費活動であり、もう一つは生産者(企業で働く労働者)として、消費活動を行うための原資を稼ぐ活動です。 生活者としての活動と生産者としての活動は関連しています。生活者が活発に消費すれば需要が拡大し、生産者である企業の売上と利益は増加します。そして、企業利益が増えれば、労働者の賃金が増加し、生活者としての消費活動も活性化します。こ...
万博関連施設の建設が遅延しており、スケジュール通り開催できるか懸念されています。さらに、開催の意義そのものまでが問われようとしています。2年前のオリンピックも今回の万博も、半世紀前、盛況を博した東京オリンピックと大阪万博の再来を期待してのものだったのですが、経済に与えるインパクトは前回とは大分様相を異にしています。今回はなぜ期待通りの成果をあげないのか考えてみます。
前回、物価高にも関わらず、日銀が金利政策を転換しないのは、日本のいくつかの経済主体が金利上昇に耐えられないからだ、ということを述べ、その代表的な経済主体として国家財政、日銀、変動金利の住宅ローン利用者を取り上げました。他国はどうあろうと、中央銀行が自国に最も適していると考えられる金融政策を選択するのは、当然です。その意味で、現在、日銀が重視すべき経済主体は、物価高に苦しむ庶民ではなく、国家財政や...
物価上昇が止まりません。食品等の物品の値上がりは以前からですが、最近は、理髪店やホテル代などのサービス価格の値上がりが目立つように思います。それに、電気、ガス等の公共料金の引き上げが追い打ちをかけますから、インフレの負担感はかなりなものになっています。一方、給料や賞与アップの報道は目にするのですが、その上昇率はとても物価上昇率に及ばず、実質賃金の低下は続いています。株価の上昇で一部富裕層は潤って...
三井住友銀行が、この4月から初任給を20万5千円から25万5千円に5万円引き上げるとの報道がありました(23年2月3日付日本経済新聞)。みずほ銀行も24年入社の初任給を5万5千円引き上げ26万円にする他、三菱UFJ銀行も同様な引き上げを検討しているようです(23年3月2日付日本経済新聞)。横並び色が強い業界ですから、地銀等の他の銀行も何らかの対応を迫られることになると思われます。 銀行の収益力の...
黒田総裁の退任を間近に控え、日銀の金融政策はかなり行き詰まっているように見えます。そろそろ何らかの手直しが必要になると思いますが、これまで黒田氏が牽引してきた金融政策はどのように総括できるでしょうか。物価をコントロールできなかった 黒田氏は「日本経済低迷の元凶はデフレ(物価の下落)にあり、そして物価は極めてマネタリーな現象であるから、マネーを司る日銀が適切に金融政策を実施すれば、デフレからインフ...
高まるインフレへの警戒感から、アメリカを筆頭に多くの欧米諸国が金融政策を転換し、利上げに転じています。一方、日銀は、我が国のインフレは欧米ほどではないこと、及び経済状況が一向に好転しないことなどを理由に、かたくなに金融緩和姿勢を崩しません。円安を阻止するためには金融引き締め、すなわち利上げが必要との意見も根強いのですが、この状況で利上げをすれば、日本経済に深刻な打撃を与えることは間違いありません...
最近、「統合政府」という言葉をよく目にするようになりました。統合政府とは政府と中央銀行(日本では、日銀)を一体化したものを言い、国の財政状態は統合政府として考えるべきだと主張します。日本は国債を主体とする政府債務が膨大にあり、その財政状態は危機的だとする財政規律派に対する反論として、提示されている論理です。債権・債務は相殺される 統合政府の考え方に立てば、日銀は政府の実質子会社であり、政府発行の...
先般、日銀の黒田総裁が、昨今の物価上昇に関連し、「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言して、強烈な批判を浴び、発言の撤回に追い込まれました。後述するように日銀には日銀なりの論理があってのことなのですが、この発言は日々の生活維持に必死の一般庶民の感情を逆なでするものだったことは間違いありません。 物価は国民生活に最も身近な経済指標です。各国の中央銀行は「物価の番人」とも呼ばれ、一般の国民感情に...
報道によれば、円安効果もあり、上場企業の業績は悪くないようです。しかし、その割には、我々国民の所得が増加しているようには思えず、国民レベルの不況感は一向に拭えません。日銀をはじめとした政策当局は、円安は企業業績に好影響を与えることで、国民にとっても好ましいものになるはずだと言っています。 円安が輸出型企業の業績に貢献することは間違いありませんが、その貢献の仕方が以前とは様相を異にしていることに留...
近時、円安が急速に進展し、20年ぶりに1ドル130円を超え、大きな話題となっています。世界的にインフレ傾向にあることから、アメリカはじめ諸外国は金融緩和から金融引き締めに転じつつありますが、日本ではインフレ率が欧米ほどではないことや不景気感がまだ根強いことから、日銀は依然として低金利の金融緩和政策の維持を続ける姿勢です。他の条件に変動がなければ、通貨の需要は金利の高い方に集まりますから、さらに円...
利益は、いうまでもなく販売価格からコストを控除して算定されます。その利益が常に十分に安定的にあればいいのですが、それはそう簡単なことではありません。一般に想定されるよりも多く発生する利益を、経済学的にはレント(超過利潤)といいますが、レントがあれば新規参入が続き、販売価格が低下し、いずれレントはなくなるとされています。 競合企業の参入により、販売価格が低下し、十分な利益が確保できなくなってきたと...
2021年4~12月の上場銀行の業績は増益決算となったようです。しかし、この好決算は21年3月までに受け付けた、信用保証協会が保証することによる貸倒リスクがゼロで、さらに都道府県が利子補給することによる実質金利がゼロになる、いわゆる「ゼロゼロ融資」の急増と、そのゼロゼロ融資を中心としたコロナ緊急融資対応で倒産が減少したことに伴う貸倒引当金の縮小によるものと受け取られています。日本経済新聞は「地銀...
我が国は、長い間デフレあるいはディスインフレ(低い物価上昇率)に苦しんできました。そこで、黒田氏の総裁就任以来、日銀はインフレを起こそうと努力してきたわけですが、功を奏しませんでした。ところが、今年はいよいよその待望のインフレが到来するかもしれません。ただし、これから到来するかもしれないインフレは、日銀が想定していたものと異なるものになりそうです。 本稿では、これから到来が予想される「悪いインフ...
巨額の赤字を抱える日本の財政が、果たして持続可能なのかどうかは長く論争の的でしたし、今後も大きなテーマであり続けます。先般も、現役の財務省事務次官が一般誌に、「このままでは、国家財政は破綻する」という趣旨の論文を寄稿し、話題となりました。一方、そうした従来型の経済学に基づく財政破綻懸念論に対し、強烈な反論がなされています。それがMMT(Modern Monetary Theory,現代貨幣理論)...
よく知られているように、決算書の数値にはストックのものとフローのものがあります。ストックの数値とフローの数値を見比べる財務指標は、その性格の違いに留意して評価しなければなりません。そして、それと同様なことは国家の計数である国債やGDP(国内総生産)についてもあてはまります。借入金と売上高ストックとは一定時点における残高であり、フローは一定期間における流れた数量の合計値です。決算書の貸借対照表はス...
自民党総裁選において、一時、金融所得課税の見直しが話題となりました。総裁選に立候補した岸田氏が当初、見直しについて前向きと見られる発言をしたからです。ただ、その後修正したため、結局は当面見直すことはなさそうです。しかし、貧富の格差問題はそう簡単に解消しませんから、金融所得課税の見直しは、今後、折に触れ浮上してくると思われます。 この間、賛成、反対両派から様々な主張がなされたのですが、どうも議論...
黒田氏が日銀総裁就任時、自信満々に短期間で実現すると言っていた2%のインフレ目標はこれまで実現できませんでしたし、今後も当分達成が難しそうな状況です。ただ、海外に目を転じると、アメリカではコロナ禍からの景気急回復で6月は5%以上の物価上昇率を示し、FRB(連邦準備制度理事会)は金融緩和の解除も考え始めているといった報道や、木材や鉄などの資材価格上昇のニュースも伝えられてきており、少し様相が異なっ...
国土交通省が、利用時間帯によって鉄道運賃に差をつける変動運賃制について検討しているとの報道がありました(2021年6月2日付け日本経済新聞)。これは「ダイナミックプライシング」という価格設定の方法です。提供する商品の需要状況の違いによって、販売価格を機敏に変動させ、利潤を極大化させようとするのがダイナミックプライシングのねらいです。ITの進化で、そんなことも可能になったのだと感心するところもある...