中小企業からグローバル企業まであらゆる経営課題に解決策を
NISAとは株式、投資信託等にかかる譲渡益、配当金、分配金が非課税になる少額投資非課税制度です。昨年開始された新NISAは半永久的に継続するような制度設計になっていますが、それ以前の旧NISAは時限立法として、期限が来ると非課税の恩典がなくなることになっていました。そして、最終期限において評価益があった場合には、評価益に課税されることなく、実際に取得した価格にその評価益を上乗せした価格を帳簿上の...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
日本企業は内部留保を貯めすぎているといわれます。内部留保を必要以上に積み上げても意味はなく、過度の内部留保は取り崩して従業員の給与を増やすとか設備投資に使えば、消費や投資が拡大し、経済成長に貢献できるはずだ、という批判をよく耳にします。 そうした意見の意図は分からないではないのですが、内部留保の本質を考えると、その使い方はそう簡単ではありません。
有価証券等の価格が変動する資産において、取得価格(簿価)と時価との差額を表現する言葉として「評価損益」と「含み損益」の2つの用語があります。一般的に、この2つの用語はほとんど同じ意味を持つものとして使われることが少なくありません。ただ、評価損益と含み損益には語感に微妙な違いが存在します。評価損益は表に現れた誰でも分かるはっきりとしたものといった印象があるのに対し、含み損益は裏に隠れたぼんやりとし...
上場企業が自社株買い(自己株式取得)を積極化しています。2024年1月31日付けの日本経済新聞によると、2023年の自己株式の取得枠は約9兆6千億円と2年連続で過去最高になっているとのことです。東証はPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業にその改善を求めていることが自社株買い増大の背景にあります。 そこで、本稿では自社株買いによる財務的効果がPBRの違いに応じてどのように変わるのかを見てみます。 ...
■ROAの分解前回に続き、ROAについて考えていきます。経営を筋肉質かどうか測る上で、どのようにROAを活用できるでしょうか。まずは、「【経営指標】生産性分析②」で触れられているように、「分ける(分解)」ことから始めます。
試算表を読みこなすための経営指標
■資本収益性 今回は、企業の資本(元手)をどれだけ活用できたかを示す指標を紹介します。このような指標を資本収益性と呼ぶことがあります。 ■筋肉質の経営 京セラや第二電電(現KDDI)の創業者であり、JALの再建に貢献した稲盛和夫氏の著書「実学」では、次のような一節があります。 『経営者はぜい肉のまったくない筋肉質の企業を目指すべきなのである。私はそのことを「筋肉質の経営に徹する」と表現しているが、...
今回も借入金に関連した経営指標をご紹介します。 企業の財務健全性を判断するための指標の一つに「借入金月商倍率」があります。
今回から借入金に関連した経営指標の解説に移ります。 借入金の返済原資となる金額は、どのように計算すれば良いでしょうか。
「生産性分析」とは、「企業が付加価値を生み出すために、自社の経営資源を有効活用できているか否か」を測る分析手法でした。 生産性分析の具体的な事例としては、「一人当たり売上高(売上高÷従業員数)」、「㎡当たり付加価値(付加価値÷店舗面積)」など、小さな単位当たりの業績を把握するもので、「〇〇当たり△△」というイメージです。 また、「機械1台当たり製造数量(製造数量÷製造機械台数)」、「客室稼働率(...
今回から「生産性分析」の解説に移ります。生産性分析とは、「企業が付加価値を生み出すために、自社の経営資源を有効活用できているか否か」を測る分析手法です。生産性分析の本論に入る前に、今回は2つの重要な用語の説明をしたいと思います。
収益性に関する経営指標について、今回は、損益計算書を読みこなす上で確認しておきたい「経常利益」についてご説明いたします。さて問題です。損益計算書の中に利益はいくつあるでしょうか。
貸借対照表の資産と負債はどちらも金額として数字が羅列されていますから、その相違をさほど意識することなく、金額のプラスとマイナスだけに注目しがちです。しかし、将来受け払いするキャッシュ額の確定性という観点に着目すると、資産と負債には大きな違いがあります。そうした違いに着目して、貸借対照表を管理することも重要です。キャッシュの受け払いの有無 貸借対照表の資産・負債をキャッシュという見地から分類しよう...
今回も収益性について解説したいと思います。 収益性分析の中でも最も重要なものは、「売上総利益(=粗利益)」の確認といえます。 売上総利益は、「売上高-売上原価(商品仕入原価、製品製造原価、工事原価など)」で算出されます。 なぜ売上総利益が最も重要かというと、損益計算書で算出される様々な「利益」の源泉であるからです。言葉を代えると、「お客様からの信任を得て、継続して適正な価格でお買い求めいただいた結...
前回までは、安全性に関する経営指標をお伝えしましたが、今回からは収益性に関する内容をお伝えいたします。今回は、損益計算書を読みこなす上で覚えておきたい「損益分岐点売上高」についてご説明いたします。損益分岐点とは、どれだけ売り上げれば費用を回収できるかという採算点を示すものです。要するに、売上高と費用が一致する点ということになります。損益分岐点以下の売上であれば利益が全く出ていない状態、損益分岐点以...
今回も安全性指標の一つである「流動比率」について説明します。唐突ですが、会社はどうなった時につぶれるのでしょうか?答えは、そうです。「負債の支払いができなくなったとき」です。ですから、どんなに多額の負債を有していても、その支払日に支払うべき負債額を超える現預金を保有していれば大丈夫、ということになります。次に「流動負債」について説明します。流動負債とは、「1年以内に支払日もしくは返済日が到来する債...
前回は、中長期的な安全性指標の一つである「自己資本比率」を取り上げました。今回は、短期的な資金繰りの安全性を示す「手元流動性」について説明します。「手元流動性」とは、直ぐに自由にできる資金が、月商に対してどれだけ持っているかを表すものです。つまり、【(現預金+直ぐに現金化できる資産+直ぐに調達できる資金)÷月商】です。ほとんどの会社の場合、資金がボトムになるのは給料日です。時には予定していた取引先...
2023年がスタートして、すでに半月が経過しました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年は「試算表を読みこなすための経営指標」をテーマに、連載することとしました。経営者の皆様は、毎月の経営活動の成果である『試算表』を眺めて、自社の業績確認をされていると存じます。私どもは、この『試算表』を、経営課題の確認や自社の方向性を検討する際の「経営判断の材料」として、もっと活用していただきたいと思ってい...
統合報告書はその名の通り2つの報告書、すなわち財務報告書と非財務報告書を1つに統合した報告書となります。この統合報告書が有用な報告書となるためには、単に2つをくっつけるのではなく、「統合思考」に基づいて作成することがポイントです。「統合思考」とは、企業活動の結果としての財務情報と、社会的課題への対応としての非財務情報が、お互いに企業価値の創造に繋がるものとして両者を関連付けることです。その「統合思...
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ソフトバンクグループが苦境に陥っています。2022年4~6月期の連結決算の最終損益は3兆1627億円の赤字と、4~6月期の日本企業の赤字額としては過去最大という不名誉な記録を打ち立てました。その赤字対策として、虎の子の中国のIT企業アリババ集団株式の一部を売却することを決め、その結果、アリババ集団はソフトバンクグループの関連会社(持分法適用会社)から外れ、2022年7~9月期に再評価益など4.6...
求められる株主との対話上場企業に対して株主との対話がより一層求められています。最近では、東芝に対する会社分割案の見直しの要求、セブン&アイ・ホールディングスに対する非中核事業の切り離しの提案など、株主が投資先企業に積極的に働きかける様子が報道されました。背景に2つの原則株主との対話の重要性が増している背景には、2つの原則が策定・適用されていることが関係しています。それは、機関投資家に対する...