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【経営指標】「自己資本比率」

2023/01/20

2023年がスタートして、すでに半月が経過しました。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


 今年は「試算表を読みこなすための経営指標」をテーマに、連載することとしました。

経営者の皆様は、毎月の経営活動の成果である『試算表』を眺めて、自社の業績確認をされていると存じます。

私どもは、この『試算表』を、経営課題の確認や自社の方向性を検討する際の「経営判断の材料」として、もっと活用していただきたいと思っています。

そこで本連載では、実務において必要と思われる経営指標をお伝えして参ります。


 第1回は、「自己資本比率」です。

中小企業の経営においては、先ずもって「安全性」の確保が必須要件であるといえます。

ですので、経営分析を行う場合には、「安全性→収益性→成長性」の順に重要視することをお伝えするよう心掛けています。(上場企業では、「成長性」が最重要視されます。)

安全性の指標には、短期的な安全性と、中長期的な安全性があります。今回は、中長期的な安全性指標の代表的な一つである「自己資本比率」を取り上げます。 


自己資本比率=純資産(自己資本)÷総資産 


「自己資本比率」は、「その会社の資産が、返済しなくとも良い純資産でどの程度賄われているか」を表しています。

自己資本比率が高い会社ほど、自社の純資産(資本金と、これまでに蓄積してきた税引後利益の合計額)を元手に資産の購入をしている(=借入金への依存度が低い)ことになりますから、安全性が高い会社といえます。


 自己資本比率の目標水準については様々な見解がありますが、私は「先ずは、20%を目指してください」と経営者の皆さんにお伝えしています。 新設法人を見ていると、「税金を払いたくない」と言いつつも、3年ほど(我慢して)納税を続けていると20%程度に達します。そうすると、資金繰りが目に見えて安定して来ます。自己資本比率が40%に達すると、借入金への依存度が低下して資金繰りに余裕が出てくると同時に、金融機関等からの評価が高まっている実感を持つことができます。


 自己資本比率を高めるためには、毎期確実に利益を計上していくことと同時に、不要資産や不良資産を整理し、総資産をスリム化していくことが重要です。

是非とも、自社の自己資本比率を算定してみると共に、中期的な自己資本比率の目標設定をしていただくことをお勧めいたします。



(2023年1月あがたグローバル経営情報マガジンvol.74

「試算表を読みこなすための経営指標(基礎編)」に掲載)

執筆者

小林 藤子Fujiko Kobayashi

マネージャー・中小企業診断士

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