中小企業からグローバル企業まであらゆる経営課題に解決策を
政府・日銀はいまだに「デフレ脱却宣言」をしていませんが、現在の物価動向は明らかにインフレに転換しています。総務省の発表によると、2025年2月の総合指数は前年同月比3.7%の上昇になっています。ただ、コメをはじめとする身近な食料品の高騰が著しく、体感の物価上昇率は政府発表数値よりかなり強烈で、庶民生活は確実に蝕まれています。果たして、アベノミクス開始当初言われていた、経済を好転させる「良いインフ...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
トランプ氏の政権復帰に伴い、アメリカの多くの政策が急激に転換され、世界は大混乱に陥っています。経済面において、最も注目され、他国に対する影響が大きいのは関税政策です。トランプ氏が行おうとしている関税政策は単なる経済政策の変更に止まらず、歴史の流れを大きく変えるものであるように思われます。
日銀は1月24日の政策決定会合で政策金利(無担保コール翌日物レート)をこれまでの0.25%から0.5%程度まで引き上げることを決定しました。長いこと低金利が続いていましたから、この0.5%という金利水準は2008年以来のことになります。今後、急激にということはないにしても、金利は徐々に上昇することが予想されます。 金利の上昇は、経済活動を行うほとんどの個人や団体になにがしかの影響を与えます。資金...
長期的に円安傾向でしたが、7月末の日銀の利上げ発表で、現在は円高への反発が生じています。しかし、本格的に円高に向かうと断定できるまでには至っていません。長期的に見れば、まだ円安への警戒感を捨て去ることはできないと思います。 かつては「円安になると、輸出が増加し好景気になるから、円安は好ましい」ということがよくいわれていました。しかし、最近では「行き過ぎた円安は輸入物価の上昇を通じてインフレとなり、...
上場企業の業績は好調で、株価は高値を維持しているようですが、個人消費は依然低迷を続けています。個人消費はGDP(国内総生産)の約6割を占めるといわれていますから、個人消費が盛り上がらなければ、経済が活性化しないのも無理はありません。消費不振が叫ばれて久しいのですが、個人消費がなぜ盛り上がらないのか考え直す必要があるのではないかと思います。
今年に入って株価は急騰し、この2月、ついに日経平均株価が34年振りに史上最高値を更新しました。あの歴史に名高いアメリカの1929年大恐慌でさえ、再度の高値更新までの期間が25年でしたから、日本のバブルの異常さとその崩壊の大きさが分かります。それ以来、日本経済が低迷しているのもうなずけます。 「バブルははじけて、初めてバブルと分かる」と言われます。1989年の史上最高値は明確にバブルでしたから、そ...
我が国は、ほぼ常態化された金融緩和政策により、長い間ゼロ金利、すなわち「金利なき世界」が続いてきました。ところが、輸入原材料高と円安を起点とするインフレの弊害は無視できず、日銀の金融政策は転換点を迎えています。金融政策の転換が、いつ、どのような形で行われるのかは予断を許しませんが、新聞や雑誌では久しぶりに到来すると予想される「金利ある世界」の話題が盛んに取り上げられるようになっています。 「金利...
前回、時代の趨勢から、今後、ジョブ型雇用が増加してくるだろう、ということを述べました。これまで日本では、メンバーシップ型雇用一辺倒だったのですから、ジョブ型雇用が増加していくことは確かだと思います。しかし、メンバーシップ型がすっかりジョブ型に置き換わるということではなく、メンバーシップ型雇用も残存し、メンバーシップ型とジョブ型は併存する形になると思われます。
経団連は会員企業にジョブ型雇用の導入を増やすように求めており(23年11月7日付け日本経済新聞)、日本の大企業の雇用形態はメンバーシップ型からジョブ型に変わりつつあるようです。それは時代の趨勢ではあるのですが、我々日本人がジョブ型に上手に対応するのはそれほど簡単ではないように思います。なぜなら、この雇用形態の変化は単に働き方にとどまらない、個人の生き方全体にも影響するものだからです。それだけに、早...
インフレが止まらず、賃金上昇率は物価上昇率を下回り、実質賃金はこの8月で17か月連続マイナスとなり、生活を圧迫しています。価格が上昇するメイン品目は日々購入しなければならない食料品や日用品なので、体感のインフレ率は政府の公式発表より厳しいように感じます。 にもかかわらず、物価を制御する役割にある日銀は相変わらず金融緩和姿勢を崩しません。日銀の言い分は、物価と賃金がともに上昇する「好循環のインフレ...
個人の経済活動は2つの要素に分けることができます。一つは生活者としての消費活動であり、もう一つは生産者(企業で働く労働者)として、消費活動を行うための原資を稼ぐ活動です。 生活者としての活動と生産者としての活動は関連しています。生活者が活発に消費すれば需要が拡大し、生産者である企業の売上と利益は増加します。そして、企業利益が増えれば、労働者の賃金が増加し、生活者としての消費活動も活性化します。こ...
万博関連施設の建設が遅延しており、スケジュール通り開催できるか懸念されています。さらに、開催の意義そのものまでが問われようとしています。2年前のオリンピックも今回の万博も、半世紀前、盛況を博した東京オリンピックと大阪万博の再来を期待してのものだったのですが、経済に与えるインパクトは前回とは大分様相を異にしています。今回はなぜ期待通りの成果をあげないのか考えてみます。
前回、物価高にも関わらず、日銀が金利政策を転換しないのは、日本のいくつかの経済主体が金利上昇に耐えられないからだ、ということを述べ、その代表的な経済主体として国家財政、日銀、変動金利の住宅ローン利用者を取り上げました。他国はどうあろうと、中央銀行が自国に最も適していると考えられる金融政策を選択するのは、当然です。その意味で、現在、日銀が重視すべき経済主体は、物価高に苦しむ庶民ではなく、国家財政や...
物価上昇が止まりません。食品等の物品の値上がりは以前からですが、最近は、理髪店やホテル代などのサービス価格の値上がりが目立つように思います。それに、電気、ガス等の公共料金の引き上げが追い打ちをかけますから、インフレの負担感はかなりなものになっています。一方、給料や賞与アップの報道は目にするのですが、その上昇率はとても物価上昇率に及ばず、実質賃金の低下は続いています。株価の上昇で一部富裕層は潤って...
三井住友銀行が、この4月から初任給を20万5千円から25万5千円に5万円引き上げるとの報道がありました(23年2月3日付日本経済新聞)。みずほ銀行も24年入社の初任給を5万5千円引き上げ26万円にする他、三菱UFJ銀行も同様な引き上げを検討しているようです(23年3月2日付日本経済新聞)。横並び色が強い業界ですから、地銀等の他の銀行も何らかの対応を迫られることになると思われます。 銀行の収益力の...
黒田総裁の退任を間近に控え、日銀の金融政策はかなり行き詰まっているように見えます。そろそろ何らかの手直しが必要になると思いますが、これまで黒田氏が牽引してきた金融政策はどのように総括できるでしょうか。物価をコントロールできなかった 黒田氏は「日本経済低迷の元凶はデフレ(物価の下落)にあり、そして物価は極めてマネタリーな現象であるから、マネーを司る日銀が適切に金融政策を実施すれば、デフレからインフ...
高まるインフレへの警戒感から、アメリカを筆頭に多くの欧米諸国が金融政策を転換し、利上げに転じています。一方、日銀は、我が国のインフレは欧米ほどではないこと、及び経済状況が一向に好転しないことなどを理由に、かたくなに金融緩和姿勢を崩しません。円安を阻止するためには金融引き締め、すなわち利上げが必要との意見も根強いのですが、この状況で利上げをすれば、日本経済に深刻な打撃を与えることは間違いありません...
最近、「統合政府」という言葉をよく目にするようになりました。統合政府とは政府と中央銀行(日本では、日銀)を一体化したものを言い、国の財政状態は統合政府として考えるべきだと主張します。日本は国債を主体とする政府債務が膨大にあり、その財政状態は危機的だとする財政規律派に対する反論として、提示されている論理です。債権・債務は相殺される 統合政府の考え方に立てば、日銀は政府の実質子会社であり、政府発行の...
先般、日銀の黒田総裁が、昨今の物価上昇に関連し、「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言して、強烈な批判を浴び、発言の撤回に追い込まれました。後述するように日銀には日銀なりの論理があってのことなのですが、この発言は日々の生活維持に必死の一般庶民の感情を逆なでするものだったことは間違いありません。 物価は国民生活に最も身近な経済指標です。各国の中央銀行は「物価の番人」とも呼ばれ、一般の国民感情に...
報道によれば、円安効果もあり、上場企業の業績は悪くないようです。しかし、その割には、我々国民の所得が増加しているようには思えず、国民レベルの不況感は一向に拭えません。日銀をはじめとした政策当局は、円安は企業業績に好影響を与えることで、国民にとっても好ましいものになるはずだと言っています。 円安が輸出型企業の業績に貢献することは間違いありませんが、その貢献の仕方が以前とは様相を異にしていることに留...