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2023/05/01
日本経済は長らく低迷していますが、近年その低迷の象徴として、東証における「PBR1倍割れ」企業の多さがクローズアップされています。PBR1倍割れは、教科書的にはレアケースと位置付けられるのですが、東証では現在5割を超える1800社以上の企業がPBR1倍を下回っており、もはや珍しいことではありません。この状況はアメリカやヨーロッパに比べてみても、はるかに高い水準となっています。そこで、東証では現在...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
2023/02/03
信越化学工業で、社長、会長として、長く経営を担ってきた金川千尋氏が1月1日、96歳で死去されました。金川氏は信越化学を世界トップの塩化ビニール(塩ビ)樹脂メーカーに育て上げると同時に、同社の時価総額を我が国化学業界随一の水準に引き上げた、カリスマ経営者として有名です。 その金川氏のインタビュー記事が1月6日付のダイヤモンドオンラインに掲載されました。このインタビューは2016年の90歳当時のもの...
2023/01/09
2022年11月本欄の「経営者保証を不要とするために」でも取り上げましたが、経営者保証の動向が注目されています。2022年11月5日付け日本経済新聞によれば、金融庁は2023年4月から金融機関の中小企業向け融資で、社長が個人で背負う経営者保証を実質的に制限する方向です。保証の必要性など理由を具体的に説明しない限り、金融機関は経営者保証を要求できなくなるようです。 私は、経営者保証が縮小するのは、...
2022/12/16
本稿ではワンマン経営の本質と、その経営者が背負う全責任について議論しています。経営者は、自社の全ての事柄に対して責任を持つ必要があり、それは「孤独感」を伴うことが多いです。また、松下幸之助氏の「衆知結集全員経営」や佐伯勇氏の「独裁すれども、独断せず」の考えを紹介し、迅速な決定と公私の区別の重要性を強調しています。これらは経営者が遵守すべき原則であり、会社の永続・発展に必要な姿勢だと語っています。
経営KEYWORD
2022/11/01
経営者保証とは主として中小企業において、経営者個人(多くの場合は社長)が自ら経営する会社の借入金の返済を保証するものです。以下に述べるような問題意識から、金融庁は経営者保証の改善を目指しており、10月4日、その状況を発表しました。それによれば、2021年10月から2022年3月において、経営者保証の地域銀行の新規融資に占める依存度は64%(地域銀行99行の平均)になっており、前年同期と比べた減少...
2022/08/19
今年3月に発覚したトヨタ自動車取引先のランサムウェア(組織が保有する情報を暗号化して人質に取り、身代金として金銭を要求する攻撃)被害による国内工場の稼働停止事件や、6月に発覚した尼崎市USBメモリー紛失事件、徳島県のクリニックに対するランサムウェア攻撃等、企業や団体等が関わる情報セキュリティ事件・事故のニュースが後を絶ちません。特に、ランサムウェア攻撃は情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している...
2022/07/20
株式会社京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が、1998年に出版された『稲盛和夫の実学』(日本経済新聞社刊)に、「売上を最大に、経費を最小に」という項があります。 稲盛氏には知名度の高い経営語録が多数存在しますが、その中でも特に有名な言葉の一つです。 この「売上を最大に、経費を最小に」という言葉を、私は独自の解釈をして経営者の皆様にお話をしています。 時間をさかのぼります。 2008年のリーマンショック...
2022/06/17
内部統制の定義において世界的に有名なものはトレッドウェイ委員会支援組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of the Tredway Commission:COSO)による定義で、「内部統制とは、事業体の取締役会、経営者およびその他の構成員によって実行され、業務、報告およびコンプライアンスに関連する目的の達成に関して合理的な保証を提供するために整備...
2022/05/20
仕事の基本である「報連相(報告・連絡・相談)」のひとつに「相談」があります。ビジネスパーソンにとっては当たり前のように必要とされるスキルであるが故に、一旦身に付けてしまえば、普段それほど意識していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、ふとしたきっかけで「相談」することがとても苦手になっていることに気づきました。何かを判断するときに自分だけで決めることに慣れてしまい、それによって判断を...
2022/04/19
ここ最近、原油価格の高止まりが続いています(WTI原油先物価格は1バレル当たり100ドル強で推移)。原油価格が上昇すると発電コストが上がり、電気代、金属資材、石油化学製品など様々なモノの値段に波及します。日銀が継続する金融緩和政策、3年目に突入したコロナ禍のサプライチェーンの混乱、混迷を深めるウクライナ情勢と相まって、容易に解消しそうにありません。 企業経営においては仕入や販管費の上昇が不可避な...
2021/10/18
日々の業務の中で様々な会議やミーティングが行われていますが、その運営手法は「ディスカッション」と「ダイアローグ」※の2種類に分けられます。両方の手法の違いを理解し、場面によって使い分けることで、より効果的な話合いに繋がるとされています。今回はその違いと、ポイントについて説明します。
2021/10/04
コロナの感染拡大に歯止めがかからず、首都圏を中心に、テレワークの拡大が求められています。行政からの出勤削減要請は7割減でしたが、この水準は小手先のやりくりでどうにかできるレベルではありません。仕事全体をゼロベースでたな卸し、それぞれの業務がテレワークで対応可能かどうか、徹底的に見直す必要があります。逆に言えば、こうしたことがなければ、その効率性を検証することなく、惰性で行っていた仕事を洗い直すい...
2021/09/17
地政学とは国際情勢が不安定になると「地政学的リスク」という言葉を目にすることがあります。地政学とはいったい何なのでしょうか。定義については細かい違いはあるようですが、地政学は「地理的条件」の観点から政治、経済及び軍事を分析するアプローチと理解しておけば良さそうです。たとえば、海洋国家は貿易の要である海上輸送を守るために強い海軍力を必要とし、大陸国家は国境線を死守するために強い陸軍力を必要とする、と...
2021/08/02
新型コロナ感染拡大に伴い、業種によって濃淡はありますが、企業は大きな打撃を受けています。直撃された業界にとっては、現在は非常時にあります。企業は非常時においてその耐久力が問われます。非常時の耐久力には平時の備えが必要になりますが、過度な備えは無駄につながります。「無駄なのか、備えなのか」、経営はいつの時代もそのバランスが問われます。
2021/07/15
社長の皆さんに「長期計画を作成していますか」と尋ねると、大部分の方から「そんな先のことなんか分からないんだから、作ってないよ」との返答を受けます。一方で、このメルマガを読まれている会社さんであれば、「短期計画なら作ってるよ」と返答される方が7割以上だと思います。確かに、10年先の長期計画を作成しようと思ったら、数値計画の正確性は低く、経営方針の体系付けも難しい作業であることは否定できません。しかし...
2021/06/15
P.F.ドラッカーの名著の一つである『経営者の条件』(ダイヤモンド社)。成果を上げるために自らをマネジメントする方法について書かれた本書は、組織を通じて成果を上げたいと願うすべての人々にとって、多くの視座を得ることができる内容が盛り込まれています。P.F.ドラッカーは、成果を上げた人々のタイプは、性格などは千差万別でも、以下の八つのことを習慣化していたと述べています。(1)なされるべきことを考える...
2021/05/17
日々、コロナ関連のニュースを見てうんざりしている方も多いことと思います。 しかし我々は、コロナ後を意識して、前向きに経営のかじ取りをしていかなければなりません。 今月は、私が経営コンサルティング業務の現場で経営者の皆さんにお伝えしている内容の一部を紹介させていただきます。
2021/01/05
金融庁は銀行による中小企業の事業支援を促す融資改革の議論を始めた、との報道がありました(2020年11月5日付日本経済新聞)。これまでの不動産担保や経営者の個人保証に偏った融資慣行を見直し、企業の技術や顧客基盤など無形資産などを一括で担保にできる制度作りを目指す、ということです。こうした制度改革により、銀行が企業の将来性を評価して資金を出しやすくすることで、経済の再生を後押しすることを狙いとしてい...
2020/12/01
新型コロナ感染防止のため、リモートワーク(在宅勤務)が普及したおかげで、この数カ月で我が国の労働者の働き方はかなり変わってしまいました。その流れが本当に定着するか、あるいは、定着することが我が国にとって本当に望ましいことなのか、ということが問われています。
2020/07/01
注目される経営指標はいつも同じではなく、安定している時と危機の時では視点が異なります。現在はコロナ禍に伴う戦後最大級の危機ですから、危機乗り切りの視点からの経営指標にスポットが当たります。