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「コロナ後を意識した経営」

2021/05/17

 日々、コロナ関連のニュースを見てうんざりしている方も多いことと思います。
 しかし我々は、コロナ後を意識して、前向きに経営のかじ取りをしていかなければなりません。
 今月は、私が経営コンサルティング業務の現場で経営者の皆さんにお伝えしている内容の一部を紹介させていただきます。


 コロナ騒動が始まって、早1年以上が経過しました。
 経営コンサルタントの小宮一慶氏は、コロナにより「未来が早くやってきた」と述べています。
 テレワークやオンライン会議、電車内の混雑解消、東京のオフィスビル賃貸の低迷などなど。
 どれも「いつかは」と思っていたことが、一気に我々の眼前に現れた印象です。


 世の中が大きく変化していることは、誰の目にも明らかです。
 一方で私は、「コロナ前に存在していた課題は、何も解決していない」とも申し上げています。
 むしろ、少子高齢化の進展、GAFAの躍進、国家財政の悪化、中国の台頭など、2年ほど前に新聞紙上を賑わせていた事象は、更に悪化して実在している点に注意が必要です。


 ワクチン接種が行き渡り、平静を取り戻すまでは、おそらくコロナ前のような人の動きには戻らないでしょう。
 一方で私は、たとえ予防接種が2021年いっぱい掛かったとしても、「2022年初頭からの風景は変わる可能性が高いのではないか」との仮説を持って考えています。


 2020年12月末の個人金融資産残高は、前年末比54兆円増(2.9%増)の1,948兆円となり、過去最高を大きく更新しました。
 一方で、観光庁が発表した『旅行・観光消費動向調査』によると、2020年の日本人国内旅行消費額は前年比54.9%の減少でした。
 皆さん、お金を使いたくても使えない、旅行や飲みに行きたくても行けないため、手元にお金が溜まっている状況が統計上に表れています。


 今年の年末になって、「ワクチン接種が終わったから、これからは人が動くぞ!」なんて騒いでアクセルを踏んでみても、他社に後れを取るだけです。
 大手企業などは、目の前に現象が現れるずっと前から一定の仮説を立て、来るべきコロナ後の競争に備えるはずです。
 さらに言うならば、「アフターコロナ」ではなく、新たな社会常識や個人欲求の出現を想定した「ビヨンドコロナ」の視点を持って、自社の商品やサービスを磨き上げることが必要ではないかと感じています。
 今はまだ考えづらい状況かもしれませんが、私は「上昇気流は必ず吹く」、「コロナ後は必ずやって来る」、抑圧された欲求はどこかで顕在化する」と申し上げています。
世の中の流れに時中(じちゅう)して経営したいものです。


(2021年5月あがたグローバル経営情報マガジンvol.14
「今月の経営KEYWORD」に掲載)

執筆者

芦原 誠Makoto Ashihara

あがたグローバル税理士法人 代表社員 理事長
あがたグローバルコンサルティング株式会社 代表取締役社長
税理士

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