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【経営KEYWORD】「『相談力』を身につける」

2022/05/20

 仕事の基本である「報連相(報告・連絡・相談)」のひとつに「相談」があります。
ビジネスパーソンにとっては当たり前のように必要とされるスキルであるが故に、一旦身に付けてしまえば、普段それほど意識していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。


私自身、ふとしたきっかけで「相談」することがとても苦手になっていることに気づきました。何かを判断するときに自分だけで決めることに慣れてしまい、それによって判断を誤ってしまうケースが散見されるようになっていたのです。


もし、私のケースと同様に、これまでと同じように努力をしている割に以前ほど結果が出ない、行き詰まりを感じている方がいらっしゃるとしたら、ある程度その仕事に習熟しているからこそ「相談力」が解決の糸口になる、ということがあるのではないかと感じています。「相談力」を通じて周りの人の力を借りることで、新たな気づきに遭遇でき、より早く、より確実に成果が手に入ること、また、新しいことにもチャレンジしやすくなります。


『超一流の相談力』(作佐部孝哉著、PHP社)という書籍には、「相談力」を高めるために下記の3つのハードルがあると述べられています 。
(1) 相談力が持つメリットを理解していない
(2) 恥ずかしい、相談したくない、という心理的な障壁がある
(3) 効果的な相談の方法を知らない
これらのハードルを乗り越えるためには 「相談」は「力」であることを知り日頃から意識すること、また、相談するためには「素直さ・謙虚さ」がまずもって大切になります。とりわけ、「素直さ・謙虚さ」は、いざ自分のこととなると、失われていることに気づきにくいものなのかもしれません。


パナソニックの創業者である松下幸之助氏は、素直でない人は人の話を聴けないので「人の知恵も活かせず、自分が大きくなれない」とおっしゃっています。自分だけの能力や知恵では限界があります。組織を動かすには多くの知恵が必要で、衆知を集めなければなりませんが、 素直でない人は他人の協力も得にくくなってしまうため、早晩行き詰まりを感じることになってしまうのではないかと思います。
 仕事に習熟している人やコミュニケ―ションが良いと思っている組織にこそ、一見当たり前のような「相談力」を日頃発揮できているか、確認してみることをお勧めいたします。


(2022年5月あがたグローバル経営情報マガジンvol.49
「今月の経営KEYWORD」に掲載)

執筆者

小林 藤子Fujiko Kobayashi

マネージャー・中小企業診断士

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