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「将来事業構想」

2021/07/15

社長の皆さんに「長期計画を作成していますか」と尋ねると、大部分の方から「そんな先のことなんか分からないんだから、作ってないよ」との返答を受けます。
一方で、このメルマガを読まれている会社さんであれば、「短期計画なら作ってるよ」と返答される方が7割以上だと思います。


確かに、10年先の長期計画を作成しようと思ったら、数値計画の正確性は低く、経営方針の体系付けも難しい作業であることは否定できません。


しかし社長と会社の将来像となると、「海の物とも山の物ともつかない」ほどに全く想像できないこともありません。


私は、「社長は10年後には何歳になっているかお分かりですか?」と尋ねます。「その位分かるよ。61歳だよ。」となります。


それであれば、30代の若さ溢れるガムシャラさとは違った、還暦を過ぎた61歳を迎えるにふさわしい自身の在り方や、事業内容に思いを馳せることは出来るのではないでしょうか。


そこで私は、「ビジョン〔VISION〕を考えませんか」と申し上げます。私はビジョンを「将来事業構想」と定義して説明します。


10年後の61歳ともなれば、後継者のことや右腕・左腕の幹部の年齢のこと、そして保有株式を含めた相続税対策のことなどが気になっていることでしょう。
経営環境を概観すると、リーマンショック(2008年)、東日本大震災(2011年)、熊本大地震(2016年)や台風19号による豪雨災害(2019年)、そしてコロナと、干支が一回りする間に「百年に一度」というような出来事が複数発生しました。
これらの経験から、今後も何かが起こるという前提で、経営と事業の安全性を高めることを考えることは必須と言えます。
そして、最も大切なのは、社長自身の事業に対する夢や思い、社会貢献を含めた将来像を具現化するために何をすべきかを考えなければ、
その実現が果たされることはありません。


経営コンサルタントの故一倉定氏は、「人間というものは、目標があると、
それに向かって努力するという不思議な動物である。」と言われました。
また、「社長とは、企業の将来に関することをやる人である。
そして、それは社長以外には誰もやってくれないものである。」とも話されています。
松下幸之助氏の「250年計画」には遠く及びませんが、10年後の社長自身の在り方や、会社と事業の将来像について、たとえおぼろげであっても「将来事業構想」として思い描いてみてはいかがでしょうか。


(2021年7月あがたグローバル経営情報マガジンvol.18
「今月の経営KEYWORD」に掲載)

執筆者

芦原 誠Makoto Ashihara

あがたグローバル税理士法人 代表社員 理事長
あがたグローバルコンサルティング株式会社 代表取締役社長
税理士

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