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2018/03/05
政府は経済界に3%の賃上げを求めています。賃金を決定するのは各企業ですから、政府の思惑通り賃上げができるかはわかりませんが、ここで注目したいのは政府が主張する賃上げの理由です。政府は賃上げの根拠の一つに、企業の潤沢な内部留保を上げています。そこで内部留保の使い方を考えてみましょう。
2018/02/09
自然科学では原因と結果が一直線につながり、悪い結果の原因は当然に特定されます。しかし、社会科学は多様な原因が絡み合いながら、結果が導き出されますから、原因を短絡的に一つに特定するのは危険です。企業不祥事の対応にもそんな複線的な思考が必要ではないかと感じています。
2018/01/12
表現は似ているのですが、その意味するところはまったく異なる言葉があります。その代表的なものに"水をさす"と"掉さす"があります。辞書を引くと"水をさす"は「うまく進行している事などに脇から邪魔をする」ことであり、"掉さす"は「調子を合わせてうまく立ち回る」ことだとあります。つまり、「時代の流れに水をさす」と言えば、時代の流れを留める、あるいは逆行する、というような意味ですし、「時代の流れに掉さす...
2017/12/01
メガバンクの人員削減報道にあるように、銀行業界は苦しい状況にあります。しかし、考えてみれば、銀行の苦境は今に始まったことではありません。バブル崩壊に伴う不良債権の増大もかなりの衝撃でしたが、そうしたことを乗り越えて、現在に至っています。それでは、今回も従来と同様に問題を解決できるのでしょうか。 ところが、今回はそうは簡単ではないと思います。というのは、今回の危機はこれまでとその本質が異なるからで...
2017/11/01
2017年9月15日付日経新聞に「コミットメントラインの利用が急増している」という記事が掲載されました。 コミットメントラインとは企業が銀行と結ぶ融資契約枠のことです。コミットメントライン契約を結ぶと、あらかじめ契約した融資期間と融資金額の範囲内で、企業から要請があると、銀行は融資をしなければなりません。コミットメントラインの特色は、銀行は実際の融資がなくても、融資契約枠そのものに対して、手数料...
2017/10/02
決算書を受け取ったときに、まずどこに着目するのかは、受け取る人の経験に対応して身についた癖があるようです。私は銀行での融資業務を出発点として社会人生活を始めたので、良きにつけ悪しきにつけ、融資を行う銀行員特有の決算書の見方が染みついているように思います。 銀行の企業文化も昔とはだいぶ変わってきたようで、最近の銀行は決算書から前向きの融資の種をどのように発掘するかという視点が重視されているようです...
2017/09/04
どのような会社でも目標設定は重要です。「良い会社にする」とか「社会的に意義のある会社になる」、というような長期的に実現しようとする理想的な目標も必要ですが、利益を追求しなければならない会社にあっては、数値目標は欠かせません。そして、数値目標はより実効性の高いものでなければなりません。最近、話題になった政府の目標設定の変更に、私はその実効性の観点から疑問を持つものがありました。
2017/08/01
長い間、株価は実体経済の好不調を測る分かりやすいバロメーターとされてきました。そのため、時の政府は株価対策に力を入れてきました。株価が高いということは、企業業績がよく、そこに働く人々の賃金は上昇し、企業が納める法人税や個人が納付する所得税等の税収も増え、その結果としてGDP(国内総生産)も増大する、というのがこれまでの一般的感覚でした。しかし、最近はやや様相を異にしてきているように見えます。政権...
2017/07/03
商工中金は不正融資を行っていたことで、監督官庁から業務改善命令を受けました。これから調査が進み、全容が解明されることが期待されますが、報道によれば組織的な疑いが濃いようですから、商工中金にとってはかなり深刻な事態が予想されます。問題になっている不正融資は、災害などで一時的に業績が悪化した企業に融資したり、利払い費を支援したりする「危機対応融資」に際し、決算書の売上高や利益を危機対応融資に該当する...
2017/06/02
最近、同業者間での業務提携の発表が相次いでいます。特に物流部門における提携が目立ちます。味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社の食品メーカー4社は国内物流事業で提携しましたし、キリンビールとアサヒビールも共同輸送を拡大しています。
2017/05/01
経営計画は将来のために作成することはいうまでもありませんが、会計(現在の決算書)にも重大な影響を与えるようになってきていることに注意しなければなりません。 経営計画は自社の経営資源や実力を十分に踏まえた上で作成します。過去の実績と懸け離れた経営計画は絵に描いた餅です。その意味で現時点での決算書をベースに経営計画を作るという、過去から未来への道筋は分かりやすいのですが、近年注目されているのは経営計...
2017/04/03
東芝の混乱は続きます。かつては日本を代表する折り紙付きの優良企業であった東芝が果たして再建できるのか、あるいはこのまま衰退の道をたどってしまうのかは、当事者でなくても気になります。東芝の再建のポイントは何なのか考えてみましょう。
2017/03/01
東芝の原発事業に関する減損損失の記事が連日新聞紙上を賑わせています。その損失規模は数千億円に達し、金額次第では債務超過の危険性もあると言われています。債務超過になると、金融機関による支援が難しくなりますから、東芝は虎の子の半導体事業の一部売却など解体的出直しが迫られている状況です。 東芝に限らず、期末に近づくと、「減損損失」の記事が目に付くようになります。減損損失は、東芝では当然のことながら将来...
2017/02/01
同じ物事でも視点をどこに置くかで見え方が変わります。たとえば、過去に大きな功績をあげた老人は過去の実績に焦点を当てれば偉大な人間として記録されますが、これから何ができるかという将来の可能性から見れば、活躍残余年数の短さが災いし低い評価しか付けられません。逆に、今までの実績は見るべきものがない若者でも潜在能力の高さに注目すれば、高く評価できます。視点の機軸を過去にするか将来にするかで、映る姿は違っ...
2017/01/05
個人消費がなかなか盛り上がりません。個人消費はGDP(国民総生産)の大よそ6割を占めますから、個人消費が活性化しなければ、GDPも増えません。そこで、政府は個人消費を増やすべく様々な対策を打っています。その大きな柱はマクロ経済対策としてのデフレからの脱却とミクロ面からの賃上げ要請です。
2016/12/01
小池百合子東京都知事の誕生で、豊洲への市場移転問題がにわかに騒がしくなってきました。これを政治的に読み解くのは、とても私の手に余りますが、投資の意思決定の問題として会計、ファイナンス論の見地から考えるのは経営的に意味のあることだと思います。
2016/11/01
誰しもがいつも期待通りの結果が残せるわけではなく、やむをえず不本意な結果に終わることがあります。ビジネスではそうしたとき、不本意な結果をどのように反省し、次に活かすかが重要です。先般の日銀の「総括的検証」はその面から言うと不十分であったと言わざるを得ません。 日銀と一般会社では目的や結果責任の取り方などに大きな違いがありますが、成績が残せなかったときの総括の仕方として、普通の会社でも参考になる点...
2016/10/03
銀行は預金者から預金を預かり、資金を必要とする人(主として企業)に貸し付けることが本業です。そこから、銀行には二つの役割があることが分かります。一つは預金者から預かった預金を利息を付けて確実に預金者に返還する預金者保護であり、もう一つは資金を貸し付けた企業を成長させる地域産業の育成です。そのどちらに重点を置くかで、銀行の融資姿勢は異なってきます。これまでは、どちらかというと、預金者保護に重点が置...
2016/09/01
日本の経済状況は為替動向に大きく左右されます。円安は輸出型大企業に有利であり、東証の主要銘柄はこうした大企業が主力ですから、円安は株価上昇につながります。円高は逆ルートをたどり、株価の下落を招きますから、国内には「円安歓迎、円高敬遠」の空気が蔓延します。 確かに企業目線からは円高は好ましくないというのは分かりますが、消費者目線からは違った風景が見えるはずです。円が高いということは自国通貨が評価さ...
2016/08/01
東証の指導もあり、上場企業で社外取締役が増加しています。これまで日本企業の取締役は社内の生え抜きがほとんどで、意思決定が内向きになり過ぎると、かねて批判されていました。そこで、社外取締役の数を増やし、取締役会に社外の多様な意見を反映させようというのです。 既に導入済みだった一部の先進的大会社を除き、日本の大部分の会社の社外取締役は会社内部の必然性からではなく、外部からの強制によって生まれたもので...