中小企業からグローバル企業まであらゆる経営課題に解決策を
2015/08/03
最近、上場企業の財務指標としてROE(自己資本利益率)がとても注目されています。ROEは当期純利益を自己資本で割って算出し、株主から預かった資本の効率性を表現する指標ですから、株主が注目するのは当然です。「ROEが低い会社の取締役選任決議案に反対する」とか、「ROE10%以上を求める」といった記事が頻繁に見受けられます。経営者がROE向上に熱心になるのは当然ですが、ROEだけに執着するのは少し...
2015/07/01
東芝の会計不祥事が大きな話題となっています。「え、あの東芝が?」がというのが偽らざる第一感です。
2015/06/01
日銀はデフレから脱却し、インフレにすることを大きな目標としています。ただ、どうした形であっても、インフレにさえなればいいかというと、そうではありません。というのは、インフレにも「良いインフレ」と「悪いインフレ」があるからです。
2015/05/01
東証や政府が積極的に推進していることもあり、上場企業で社外取締役の導入が進んでいます。社外取締役が入ることにより、どのように会社は変わるのでしょう。
2015/04/01
株価の好調が続いていますが、この株価上昇には二つの対立した見方があります。一つはアベノミクスの成功で実体経済が改善し、企業の実力が向上している証として株価が上昇しているという見方です。もう一つは、日銀の異次元の金融緩和により、世間に余剰マネーが溢れ、日銀自身によるETF(上場投資信託)の購入や年金積立金の運用を行うGPIF(年金積立金管理運用独立法人)の株式運用比率の引き上げ等の公的マネーが牽...
2015/03/02
トマ・ピケティの「21世紀の資本」がベストセラーになっていることに見られるように、近年格差拡大論が盛んです。これは個人間の格差拡大の話ですが、ここでは少し見方を変えて、財務諸表の格差拡大について考えてみましょう。本コラムで言いたいことは、「財務諸表が格差拡大を促している」ということではなく、「財務諸表は格差拡大を先鋭的に表示するように変わってきている」ということです。
2015/02/02
日銀の追加金融緩和が強力に進められています。金融緩和が企業に及ぼす影響は一様ではありません。金融緩和に伴う円安で交易条件が好転し潤う輸出業者がある一方、原材料が高くなり困っている輸入業者も増えています。目立たないのですが、その他に苦しくなる業界の一つに銀行があります。
2015/01/05
総理も日銀総裁も「デフレマインドの払拭」を声高に訴えます。ことほどさように、近年はデフレマインドが諸悪の根源のように言われますが、私はビジネスにおいては、デフレマインドは必須の思考方法だと思っています。
2014/12/01
安倍政権の経済政策の第一の目標は成長の加速ですが、経済成長を端的に示す指標であるGDP(国内総生産)も物価上昇率も当初期待していたほどには高まりません。その原因をもっぱら消費税増税等の経済政策の不備に求める考え方も存在しますが、私は経済構造の変化も大きな要因ではないかと思っています。経済構造の変化でよく言われるのは、人口減少や技術革新の問題などですが、ここでは消費形態の変化に着目してみましょう...
2014/11/04
日本の会社は現金預金を貯めすぎると言われています。日銀が発表した資金循環統計によると、企業が保有する現預金の14年3月末の残高は232兆円と過去最高を更新しました。会社が眠らせている現金預金を積極的に投資に使うか、あるいは株主に還元すれば、日本経済は活性化するというのです。 現在、預金利率はほとんどゼロで、現預金を積み増すことの収益的メリットはありません。会社内で成長のための投資に回せない現...
2014/10/01
全国銀行協会と日本商工会議所などが、強制力のない自主ルールとして「経営者保証に関するガイドライン」を本年2月に策定しました。このガイドラインは銀行借入に付随する経営者(社長)個人保証の解除を目的としたものですが、我が国で長い間慣習として定着してきた観のある社長個人保証が減少していくのか注目されます。
2014/09/01
最近、キャッシュリッチな会社が増えています。キャッシュがたくさんあることは金持ちの象徴であり、「キャッシュが多ければそれでいいではないか、なんら文句をつけることではあるまい」といわれるかもしれません。個人であれば、自分で稼いだものをキャッシュとして貯め込むことに、誰も文句はつけられません。せいぜい「あいつはケチだ」とか「あいつの趣味は通帳の残高を見ることだ」といった陰口をたたくのが精一杯です。...
2014/08/01
経営者(取締役)は株主から委託を受けて、従業員を雇用して会社を経営します。経営者は、会社において株主と従業員の結節点に当たる存在といえます。経営者の立ち位置は株主と従業員の間にあることになりますが、その比重をどちらに置くかで経営は大きく変わります。
2014/07/01
週刊ダイヤモンド2014年5月3日、10日合併号の産業レポートは、「アマゾンの法人融資サービス」でした。私はこのレポートを読んで、少なからぬ衝撃を受けました。それは、あのアマゾンが融資を始めたからではなく、アマゾンが採用する融資方法がとても鮮烈だったからです。
2014/06/02
2014年4月19日号の『週刊東洋経済』に「本業喪失~富士フイルムに学ぶ勝ち残りの法則~」が特集されていました。この特集では経営者の決断の重要性が強調されています。経営者の迅速で果断な決断が富士フイルムを救ったことはいうまでもありません。ただ、経営者の決断の前に、現実を正しく見ることが必要になります。そこで、本稿では現実を直視することの重要性を考えて見ます。
2014/05/01
コンピュータ将棋と一線級のプロ棋士が対決する「第3回将棋電王戦」が行われました。前回はコンピュータの3勝1敗1分け、今回も4勝1敗でコンピュータの勝利に終わりました。少し前までは、将棋はチェスなどに比べて、成り駒や獲得駒の再使用など、駒の変化のバリエーションが多く、コンピュータがトッププロに勝つようになるのは相当先になるだろう、という意見が大勢でした。でも、コンピュータソフトの進歩はそうした予測...
2014/04/01
アベノミクス効果で、物価が上昇し企業収益が好転したとしても、個人の収入が変わらなければ、個人にとっては物価上昇分だけ実質可処分所得が減少し、経済は持続的に拡大しません。しかも、持続的拡大のためには個人の収入増加は一時金ではなく、恒常的な収入増加をもたらす定期給与のアップが望ましい、ということになります。そこで、企業にベースアップ(ベア)を期待するという異例の要望が政府から出されました。ベアをする...
2014/03/03
2014年1月27日の日本経済新聞に、企業がM&A(合併、買収)をやりやすくするためにのれん償却を不要とすべく、会計基準を改正するように検討に入った、という記事が掲載されていました。今回は、のれん償却方法の違いとその背景にある企業文化との関係について考えてみます。
2014/02/05
デフレではモノの値段が下がり、裏腹にカネの価値が上がります。モノの価格は年々下がるのですから、先に行けばいくほど同じモノを安い価格で手に入れることができます。だから、段々モノを買わなくなり、不況は深刻化します。それで益々モノの値段が下がりデフレは続くということになります。これがデフレスパイラルです。 デフレのままでは経済が活性化しないということで、何とかデフレからインフレに持っていこうとして、日...
2014/01/06
預かっている巨額な年金資金を使い込み、海外に逃亡していた長野県建設業厚生年金基金の事務長が逮捕されました。刑事責任の追及はこれからですが、どんなに追及したところで、戻ってくる資金はほとんどありませんし、さらに悪いことに、同基金はAIJ投資顧問の年金資産消失事件にも関係していましたから、その積立不足は深刻であり、今後の動向が注目されます。今回は厚生年金基金処理の問題を決算書の表示の面から考えてみます...