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2023/02/03
信越化学工業で、社長、会長として、長く経営を担ってきた金川千尋氏が1月1日、96歳で死去されました。金川氏は信越化学を世界トップの塩化ビニール(塩ビ)樹脂メーカーに育て上げると同時に、同社の時価総額を我が国化学業界随一の水準に引き上げた、カリスマ経営者として有名です。 その金川氏のインタビュー記事が1月6日付のダイヤモンドオンラインに掲載されました。このインタビューは2016年の90歳当時のもの...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
2023/01/20
2023年がスタートして、すでに半月が経過しました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年は「試算表を読みこなすための経営指標」をテーマに、連載することとしました。経営者の皆様は、毎月の経営活動の成果である『試算表』を眺めて、自社の業績確認をされていると存じます。私どもは、この『試算表』を、経営課題の確認や自社の方向性を検討する際の「経営判断の材料」として、もっと活用していただきたいと思ってい...
試算表を読みこなすための経営指標
2023/01/09
2022年11月本欄の「経営者保証を不要とするために」でも取り上げましたが、経営者保証の動向が注目されています。2022年11月5日付け日本経済新聞によれば、金融庁は2023年4月から金融機関の中小企業向け融資で、社長が個人で背負う経営者保証を実質的に制限する方向です。保証の必要性など理由を具体的に説明しない限り、金融機関は経営者保証を要求できなくなるようです。 私は、経営者保証が縮小するのは、...
2022/12/16
本稿ではワンマン経営の本質と、その経営者が背負う全責任について議論しています。経営者は、自社の全ての事柄に対して責任を持つ必要があり、それは「孤独感」を伴うことが多いです。また、松下幸之助氏の「衆知結集全員経営」や佐伯勇氏の「独裁すれども、独断せず」の考えを紹介し、迅速な決定と公私の区別の重要性を強調しています。これらは経営者が遵守すべき原則であり、会社の永続・発展に必要な姿勢だと語っています。
経営KEYWORD
2022/12/01
Q.役員に対しても毎月の定額報酬の他に、従業員と同様に賞与を支給することを検討しています。この場合どのような手続きが必要でしょうか。
今月の税務・経営トピックスQ&A
高まるインフレへの警戒感から、アメリカを筆頭に多くの欧米諸国が金融政策を転換し、利上げに転じています。一方、日銀は、我が国のインフレは欧米ほどではないこと、及び経済状況が一向に好転しないことなどを理由に、かたくなに金融緩和姿勢を崩しません。円安を阻止するためには金融引き締め、すなわち利上げが必要との意見も根強いのですが、この状況で利上げをすれば、日本経済に深刻な打撃を与えることは間違いありません...
2022/11/01
経営者保証とは主として中小企業において、経営者個人(多くの場合は社長)が自ら経営する会社の借入金の返済を保証するものです。以下に述べるような問題意識から、金融庁は経営者保証の改善を目指しており、10月4日、その状況を発表しました。それによれば、2021年10月から2022年3月において、経営者保証の地域銀行の新規融資に占める依存度は64%(地域銀行99行の平均)になっており、前年同期と比べた減少...
2022/10/18
統合報告書はその名の通り2つの報告書、すなわち財務報告書と非財務報告書を1つに統合した報告書となります。この統合報告書が有用な報告書となるためには、単に2つをくっつけるのではなく、「統合思考」に基づいて作成することがポイントです。「統合思考」とは、企業活動の結果としての財務情報と、社会的課題への対応としての非財務情報が、お互いに企業価値の創造に繋がるものとして両者を関連付けることです。その「統合思...
2022/10/03
ソフトバンクグループが苦境に陥っています。2022年4~6月期の連結決算の最終損益は3兆1627億円の赤字と、4~6月期の日本企業の赤字額としては過去最大という不名誉な記録を打ち立てました。その赤字対策として、虎の子の中国のIT企業アリババ集団株式の一部を売却することを決め、その結果、アリババ集団はソフトバンクグループの関連会社(持分法適用会社)から外れ、2022年7~9月期に再評価益など4.6...
2022/09/20
2023年10月1日よりインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まります。制度開始まで残り1年となりましたが、皆様の会社のインボイス制度対応はどの程度お済みでしょうか。インボイス制度の概要インボイス制度は、消費税法の改正に伴い導入される、新しい仕入税額控除方式のことをいいます。消費税は原則として事業者が預かった消費税から支払った消費税を差し引いて国に納めますが、預かった消費税から支払った消費税を差...
2022/09/06
最近、「統合政府」という言葉をよく目にするようになりました。統合政府とは政府と中央銀行(日本では、日銀)を一体化したものを言い、国の財政状態は統合政府として考えるべきだと主張します。日本は国債を主体とする政府債務が膨大にあり、その財政状態は危機的だとする財政規律派に対する反論として、提示されている論理です。債権・債務は相殺される 統合政府の考え方に立てば、日銀は政府の実質子会社であり、政府発行の...
2022/09/01
Q.懇親会や慰安旅行を再開しようと考えていますが、未だコロナの感染を心配する従業員も多いため、参加者が少なくなると想定されます。参加者が少ない場合には、会社が負担する費用は従業員に対する給与になるのでしょうか?
2022/08/19
今年3月に発覚したトヨタ自動車取引先のランサムウェア(組織が保有する情報を暗号化して人質に取り、身代金として金銭を要求する攻撃)被害による国内工場の稼働停止事件や、6月に発覚した尼崎市USBメモリー紛失事件、徳島県のクリニックに対するランサムウェア攻撃等、企業や団体等が関わる情報セキュリティ事件・事故のニュースが後を絶ちません。特に、ランサムウェア攻撃は情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している...
2022/08/04
先般、日銀の黒田総裁が、昨今の物価上昇に関連し、「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言して、強烈な批判を浴び、発言の撤回に追い込まれました。後述するように日銀には日銀なりの論理があってのことなのですが、この発言は日々の生活維持に必死の一般庶民の感情を逆なでするものだったことは間違いありません。 物価は国民生活に最も身近な経済指標です。各国の中央銀行は「物価の番人」とも呼ばれ、一般の国民感情に...
2022/07/20
株式会社京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が、1998年に出版された『稲盛和夫の実学』(日本経済新聞社刊)に、「売上を最大に、経費を最小に」という項があります。 稲盛氏には知名度の高い経営語録が多数存在しますが、その中でも特に有名な言葉の一つです。 この「売上を最大に、経費を最小に」という言葉を、私は独自の解釈をして経営者の皆様にお話をしています。 時間をさかのぼります。 2008年のリーマンショック...
2022/07/01
報道によれば、円安効果もあり、上場企業の業績は悪くないようです。しかし、その割には、我々国民の所得が増加しているようには思えず、国民レベルの不況感は一向に拭えません。日銀をはじめとした政策当局は、円安は企業業績に好影響を与えることで、国民にとっても好ましいものになるはずだと言っています。 円安が輸出型企業の業績に貢献することは間違いありませんが、その貢献の仕方が以前とは様相を異にしていることに留...
2022/06/17
内部統制の定義において世界的に有名なものはトレッドウェイ委員会支援組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of the Tredway Commission:COSO)による定義で、「内部統制とは、事業体の取締役会、経営者およびその他の構成員によって実行され、業務、報告およびコンプライアンスに関連する目的の達成に関して合理的な保証を提供するために整備...
2022/06/06
近時、円安が急速に進展し、20年ぶりに1ドル130円を超え、大きな話題となっています。世界的にインフレ傾向にあることから、アメリカはじめ諸外国は金融緩和から金融引き締めに転じつつありますが、日本ではインフレ率が欧米ほどではないことや不景気感がまだ根強いことから、日銀は依然として低金利の金融緩和政策の維持を続ける姿勢です。他の条件に変動がなければ、通貨の需要は金利の高い方に集まりますから、さらに円...
2022/05/20
仕事の基本である「報連相(報告・連絡・相談)」のひとつに「相談」があります。ビジネスパーソンにとっては当たり前のように必要とされるスキルであるが故に、一旦身に付けてしまえば、普段それほど意識していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、ふとしたきっかけで「相談」することがとても苦手になっていることに気づきました。何かを判断するときに自分だけで決めることに慣れてしまい、それによって判断を...
2022/05/02
利益は、いうまでもなく販売価格からコストを控除して算定されます。その利益が常に十分に安定的にあればいいのですが、それはそう簡単なことではありません。一般に想定されるよりも多く発生する利益を、経済学的にはレント(超過利潤)といいますが、レントがあれば新規参入が続き、販売価格が低下し、いずれレントはなくなるとされています。 競合企業の参入により、販売価格が低下し、十分な利益が確保できなくなってきたと...