中小企業からグローバル企業まであらゆる経営課題に解決策を
2022/12/01
高まるインフレへの警戒感から、アメリカを筆頭に多くの欧米諸国が金融政策を転換し、利上げに転じています。一方、日銀は、我が国のインフレは欧米ほどではないこと、及び経済状況が一向に好転しないことなどを理由に、かたくなに金融緩和姿勢を崩しません。円安を阻止するためには金融引き締め、すなわち利上げが必要との意見も根強いのですが、この状況で利上げをすれば、日本経済に深刻な打撃を与えることは間違いありません...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
2022/11/01
経営者保証とは主として中小企業において、経営者個人(多くの場合は社長)が自ら経営する会社の借入金の返済を保証するものです。以下に述べるような問題意識から、金融庁は経営者保証の改善を目指しており、10月4日、その状況を発表しました。それによれば、2021年10月から2022年3月において、経営者保証の地域銀行の新規融資に占める依存度は64%(地域銀行99行の平均)になっており、前年同期と比べた減少...
2022/10/18
統合報告書はその名の通り2つの報告書、すなわち財務報告書と非財務報告書を1つに統合した報告書となります。この統合報告書が有用な報告書となるためには、単に2つをくっつけるのではなく、「統合思考」に基づいて作成することがポイントです。「統合思考」とは、企業活動の結果としての財務情報と、社会的課題への対応としての非財務情報が、お互いに企業価値の創造に繋がるものとして両者を関連付けることです。その「統合思...
経営KEYWORD
2022/10/03
ソフトバンクグループが苦境に陥っています。2022年4~6月期の連結決算の最終損益は3兆1627億円の赤字と、4~6月期の日本企業の赤字額としては過去最大という不名誉な記録を打ち立てました。その赤字対策として、虎の子の中国のIT企業アリババ集団株式の一部を売却することを決め、その結果、アリババ集団はソフトバンクグループの関連会社(持分法適用会社)から外れ、2022年7~9月期に再評価益など4.6...
2022/09/20
2023年10月1日よりインボイス制度(適格請求書保存方式)が始まります。制度開始まで残り1年となりましたが、皆様の会社のインボイス制度対応はどの程度お済みでしょうか。インボイス制度の概要インボイス制度は、消費税法の改正に伴い導入される、新しい仕入税額控除方式のことをいいます。消費税は原則として事業者が預かった消費税から支払った消費税を差し引いて国に納めますが、預かった消費税から支払った消費税を差...
2022/09/06
最近、「統合政府」という言葉をよく目にするようになりました。統合政府とは政府と中央銀行(日本では、日銀)を一体化したものを言い、国の財政状態は統合政府として考えるべきだと主張します。日本は国債を主体とする政府債務が膨大にあり、その財政状態は危機的だとする財政規律派に対する反論として、提示されている論理です。債権・債務は相殺される 統合政府の考え方に立てば、日銀は政府の実質子会社であり、政府発行の...
2022/09/01
Q.懇親会や慰安旅行を再開しようと考えていますが、未だコロナの感染を心配する従業員も多いため、参加者が少なくなると想定されます。参加者が少ない場合には、会社が負担する費用は従業員に対する給与になるのでしょうか?
今月の税務・経営トピックスQ&A
2022/08/19
今年3月に発覚したトヨタ自動車取引先のランサムウェア(組織が保有する情報を暗号化して人質に取り、身代金として金銭を要求する攻撃)被害による国内工場の稼働停止事件や、6月に発覚した尼崎市USBメモリー紛失事件、徳島県のクリニックに対するランサムウェア攻撃等、企業や団体等が関わる情報セキュリティ事件・事故のニュースが後を絶ちません。特に、ランサムウェア攻撃は情報処理推進機構(IPA)が毎年発表している...
2022/08/04
先般、日銀の黒田総裁が、昨今の物価上昇に関連し、「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言して、強烈な批判を浴び、発言の撤回に追い込まれました。後述するように日銀には日銀なりの論理があってのことなのですが、この発言は日々の生活維持に必死の一般庶民の感情を逆なでするものだったことは間違いありません。 物価は国民生活に最も身近な経済指標です。各国の中央銀行は「物価の番人」とも呼ばれ、一般の国民感情に...
2022/07/20
株式会社京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が、1998年に出版された『稲盛和夫の実学』(日本経済新聞社刊)に、「売上を最大に、経費を最小に」という項があります。 稲盛氏には知名度の高い経営語録が多数存在しますが、その中でも特に有名な言葉の一つです。 この「売上を最大に、経費を最小に」という言葉を、私は独自の解釈をして経営者の皆様にお話をしています。 時間をさかのぼります。 2008年のリーマンショック...
2022/07/01
報道によれば、円安効果もあり、上場企業の業績は悪くないようです。しかし、その割には、我々国民の所得が増加しているようには思えず、国民レベルの不況感は一向に拭えません。日銀をはじめとした政策当局は、円安は企業業績に好影響を与えることで、国民にとっても好ましいものになるはずだと言っています。 円安が輸出型企業の業績に貢献することは間違いありませんが、その貢献の仕方が以前とは様相を異にしていることに留...
2022/06/17
内部統制の定義において世界的に有名なものはトレッドウェイ委員会支援組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of the Tredway Commission:COSO)による定義で、「内部統制とは、事業体の取締役会、経営者およびその他の構成員によって実行され、業務、報告およびコンプライアンスに関連する目的の達成に関して合理的な保証を提供するために整備...
2022/06/06
近時、円安が急速に進展し、20年ぶりに1ドル130円を超え、大きな話題となっています。世界的にインフレ傾向にあることから、アメリカはじめ諸外国は金融緩和から金融引き締めに転じつつありますが、日本ではインフレ率が欧米ほどではないことや不景気感がまだ根強いことから、日銀は依然として低金利の金融緩和政策の維持を続ける姿勢です。他の条件に変動がなければ、通貨の需要は金利の高い方に集まりますから、さらに円...
2022/05/20
仕事の基本である「報連相(報告・連絡・相談)」のひとつに「相談」があります。ビジネスパーソンにとっては当たり前のように必要とされるスキルであるが故に、一旦身に付けてしまえば、普段それほど意識していない方もいらっしゃるのではないでしょうか。私自身、ふとしたきっかけで「相談」することがとても苦手になっていることに気づきました。何かを判断するときに自分だけで決めることに慣れてしまい、それによって判断を...
2022/05/02
利益は、いうまでもなく販売価格からコストを控除して算定されます。その利益が常に十分に安定的にあればいいのですが、それはそう簡単なことではありません。一般に想定されるよりも多く発生する利益を、経済学的にはレント(超過利潤)といいますが、レントがあれば新規参入が続き、販売価格が低下し、いずれレントはなくなるとされています。 競合企業の参入により、販売価格が低下し、十分な利益が確保できなくなってきたと...
2022/05/01
経営トピックスQ&A 5 月号Q.当社は、M&Aで他社の株式を取得しようと検討していますが、できるだけ買収に係るリスクを回避したいと考えています。何か手立てはあるでしょうか?A.買い手のリスク2021 年版『中小企業白書』によれば、買い手がM& Aを実施する際の障壁として、「期待する効果が得られるかよく分からない」「判断材料としての情報が不足している」といっ...
2022/04/19
ここ最近、原油価格の高止まりが続いています(WTI原油先物価格は1バレル当たり100ドル強で推移)。原油価格が上昇すると発電コストが上がり、電気代、金属資材、石油化学製品など様々なモノの値段に波及します。日銀が継続する金融緩和政策、3年目に突入したコロナ禍のサプライチェーンの混乱、混迷を深めるウクライナ情勢と相まって、容易に解消しそうにありません。 企業経営においては仕入や販管費の上昇が不可避な...
2022/04/01
2021年4~12月の上場銀行の業績は増益決算となったようです。しかし、この好決算は21年3月までに受け付けた、信用保証協会が保証することによる貸倒リスクがゼロで、さらに都道府県が利子補給することによる実質金利がゼロになる、いわゆる「ゼロゼロ融資」の急増と、そのゼロゼロ融資を中心としたコロナ緊急融資対応で倒産が減少したことに伴う貸倒引当金の縮小によるものと受け取られています。日本経済新聞は「地銀...
2022/03/18
新将命氏の『王道経営』(ダイヤモンド社刊)の中に、“人間を構成する元素から人間の価格を算定する” という面白い文章があります。 「人間を構成している成分は、体重が60㎏の人で、水40ℓ、アンモニア4ℓ、炭素1.5㎏、リン800g、塩分250g、硝石100g、硫黄80g、マグネシウム 50g、フッ素7.5g、鉄5g、ケイ素3g、マンガン3g、アルミニウム1g、その他は炭酸ほか13の少量元素だという...
2022/03/01
税務トピックスQ&A 3月号Q.電子取引データの電子保存が義務化されました。当社も準備を進めてきましたが、運用に至っていません。宥恕期間も設けられたため、電子取引について基本事項を再確認させてください。A.■電子取引データ保存改正の概要これまでは、電子取引の取引情報について、原則として電子データのまま保存するところ、代替措置として出力した書面等による保...