中小企業からグローバル企業まであらゆる経営課題に解決策を
2023/07/05
物価上昇が止まりません。食品等の物品の値上がりは以前からですが、最近は、理髪店やホテル代などのサービス価格の値上がりが目立つように思います。それに、電気、ガス等の公共料金の引き上げが追い打ちをかけますから、インフレの負担感はかなりなものになっています。一方、給料や賞与アップの報道は目にするのですが、その上昇率はとても物価上昇率に及ばず、実質賃金の低下は続いています。株価の上昇で一部富裕層は潤って...
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公認会計士井口秀昭のウェブコラム
2023/06/29
「移転価格」でネット検索すると、いくつかの記事が把握されます。最近では、良品計画の更正所得金額70億円、IHIの更正所得金額100億円、日本碍子の追徴税額85億円などが散見されます。いずれも多額です。 新聞報道によれば、良品計画は、日本親会社と中国子会社との間の、商品の取引価格や商標権の使用料を東京国税局から問題視され、70億円の移転価格課税を受けたとされています。 良品計画は、2020年3月1...
米国法人P社の2007年度から2009年度(以下、「対象年度」といいます。)の申告について、IRSが約90億ドルの所得が海外に移転しているなどとして更正した事案です。P社は、その更正処分について米国租税裁判所に提訴しました。P社が保有する製造方法、ロゴなどの商標(以下、「製造方法等」といいます。)から生み出される利益は誰が享受すべきかが論点でした。
本件は、パチスロ台用モーターの製造及び販売を行っている日本法人A社が、国外関連者の香港法人B社との間でした仕入取引に関し,租税特別措置法(平成16年法律第14号による改正前)66条の4第1項が規定する独立企業間価格を算定するために必要と認められる帳簿書類等が遅滞なく提示又は提出されなかったとして,同法第7項により算定した価格を前記仕入取引の独立企業間価格と推定して計算した法人税についての更正処分...
2023/06/20
収益性に関する経営指標について、今回は、損益計算書を読みこなす上で確認しておきたい「経常利益」についてご説明いたします。さて問題です。損益計算書の中に利益はいくつあるでしょうか。
試算表を読みこなすための経営指標
2023/06/02
貸借対照表の資産と負債はどちらも金額として数字が羅列されていますから、その相違をさほど意識することなく、金額のプラスとマイナスだけに注目しがちです。しかし、将来受け払いするキャッシュ額の確定性という観点に着目すると、資産と負債には大きな違いがあります。そうした違いに着目して、貸借対照表を管理することも重要です。キャッシュの受け払いの有無 貸借対照表の資産・負債をキャッシュという見地から分類しよう...
2023/05/19
今回も収益性について解説したいと思います。 収益性分析の中でも最も重要なものは、「売上総利益(=粗利益)」の確認といえます。 売上総利益は、「売上高-売上原価(商品仕入原価、製品製造原価、工事原価など)」で算出されます。 なぜ売上総利益が最も重要かというと、損益計算書で算出される様々な「利益」の源泉であるからです。言葉を代えると、「お客様からの信任を得て、継続して適正な価格でお買い求めいただいた結...
2023/05/01
Q.最近、「名義変更プラン」と呼ばれる生命保険が行き過ぎた節税だとして、金融庁が問題視しているとの報道がありました。この保険の税務上の取扱いと留意点を教えてください。
今月の税務・経営トピックスQ&A
日本経済は長らく低迷していますが、近年その低迷の象徴として、東証における「PBR1倍割れ」企業の多さがクローズアップされています。PBR1倍割れは、教科書的にはレアケースと位置付けられるのですが、東証では現在5割を超える1800社以上の企業がPBR1倍を下回っており、もはや珍しいことではありません。この状況はアメリカやヨーロッパに比べてみても、はるかに高い水準となっています。そこで、東証では現在...
2023/04/20
前回までは、安全性に関する経営指標をお伝えしましたが、今回からは収益性に関する内容をお伝えいたします。今回は、損益計算書を読みこなす上で覚えておきたい「損益分岐点売上高」についてご説明いたします。損益分岐点とは、どれだけ売り上げれば費用を回収できるかという採算点を示すものです。要するに、売上高と費用が一致する点ということになります。損益分岐点以下の売上であれば利益が全く出ていない状態、損益分岐点以...
2023/04/03
三井住友銀行が、この4月から初任給を20万5千円から25万5千円に5万円引き上げるとの報道がありました(23年2月3日付日本経済新聞)。みずほ銀行も24年入社の初任給を5万5千円引き上げ26万円にする他、三菱UFJ銀行も同様な引き上げを検討しているようです(23年3月2日付日本経済新聞)。横並び色が強い業界ですから、地銀等の他の銀行も何らかの対応を迫られることになると思われます。 銀行の収益力の...
2023/03/20
今回も安全性指標の一つである「流動比率」について説明します。唐突ですが、会社はどうなった時につぶれるのでしょうか?答えは、そうです。「負債の支払いができなくなったとき」です。ですから、どんなに多額の負債を有していても、その支払日に支払うべき負債額を超える現預金を保有していれば大丈夫、ということになります。次に「流動負債」について説明します。流動負債とは、「1年以内に支払日もしくは返済日が到来する債...
2023/03/06
黒田総裁の退任を間近に控え、日銀の金融政策はかなり行き詰まっているように見えます。そろそろ何らかの手直しが必要になると思いますが、これまで黒田氏が牽引してきた金融政策はどのように総括できるでしょうか。物価をコントロールできなかった 黒田氏は「日本経済低迷の元凶はデフレ(物価の下落)にあり、そして物価は極めてマネタリーな現象であるから、マネーを司る日銀が適切に金融政策を実施すれば、デフレからインフ...
2023/03/01
Q.優秀な人材確保や従業員の離職を防ぐために従業員の奨学金返還を支援する企業が増加していると聞きました。当社でも導入を検討したいと思いますので、返還を支援した場合の課税関係を教えてください。
2023/02/21
前回は、中長期的な安全性指標の一つである「自己資本比率」を取り上げました。今回は、短期的な資金繰りの安全性を示す「手元流動性」について説明します。「手元流動性」とは、直ぐに自由にできる資金が、月商に対してどれだけ持っているかを表すものです。つまり、【(現預金+直ぐに現金化できる資産+直ぐに調達できる資金)÷月商】です。ほとんどの会社の場合、資金がボトムになるのは給料日です。時には予定していた取引先...
2023/02/03
信越化学工業で、社長、会長として、長く経営を担ってきた金川千尋氏が1月1日、96歳で死去されました。金川氏は信越化学を世界トップの塩化ビニール(塩ビ)樹脂メーカーに育て上げると同時に、同社の時価総額を我が国化学業界随一の水準に引き上げた、カリスマ経営者として有名です。 その金川氏のインタビュー記事が1月6日付のダイヤモンドオンラインに掲載されました。このインタビューは2016年の90歳当時のもの...
2023/01/20
2023年がスタートして、すでに半月が経過しました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。今年は「試算表を読みこなすための経営指標」をテーマに、連載することとしました。経営者の皆様は、毎月の経営活動の成果である『試算表』を眺めて、自社の業績確認をされていると存じます。私どもは、この『試算表』を、経営課題の確認や自社の方向性を検討する際の「経営判断の材料」として、もっと活用していただきたいと思ってい...
2023/01/09
2022年11月本欄の「経営者保証を不要とするために」でも取り上げましたが、経営者保証の動向が注目されています。2022年11月5日付け日本経済新聞によれば、金融庁は2023年4月から金融機関の中小企業向け融資で、社長が個人で背負う経営者保証を実質的に制限する方向です。保証の必要性など理由を具体的に説明しない限り、金融機関は経営者保証を要求できなくなるようです。 私は、経営者保証が縮小するのは、...
2022/12/16
本稿ではワンマン経営の本質と、その経営者が背負う全責任について議論しています。経営者は、自社の全ての事柄に対して責任を持つ必要があり、それは「孤独感」を伴うことが多いです。また、松下幸之助氏の「衆知結集全員経営」や佐伯勇氏の「独裁すれども、独断せず」の考えを紹介し、迅速な決定と公私の区別の重要性を強調しています。これらは経営者が遵守すべき原則であり、会社の永続・発展に必要な姿勢だと語っています。
経営KEYWORD
2022/12/01
Q.役員に対しても毎月の定額報酬の他に、従業員と同様に賞与を支給することを検討しています。この場合どのような手続きが必要でしょうか。