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地域経済牽引事業計画の策定

2023/11/13

「経営トピックスQ&A 11月号」掲載


Q.長野県内で地域の特性を活かした新規事業を始めようと思います。地域経済牽引事業計画を策定して長野県から承認されると様々な支援を受けられると聞きました。本計画の概要を教えてください。


A.■地域経済牽引事業計画の概要

 地域経済牽引事業計画(以下、「本計画」という)は、地域未来投資促進法に基づきその地域の自治体が策定した基本計画に沿って、事業者が策定する計画をいいます。地域経済を「牽引する」計画として、

1.地域の特性を活かすものであること、

2.高い付加価値を創出するものであること、

3.地域の事業者への経済的効果を有すること、という「3つの要件」を満たすことが必要となります。

 まずは御社が新規事業を行う予定の地域がどのような基本計画により地域経済の活性化を目指しているかを長野県のホームページで確認することが必要です。新規事業がその地域の基本計画に合致しているのであれば、是非、本計画の策定を検討してみてください。

■地域経済牽引事業計画承認までの手続き

 まずは都道府県・市町村が定める基本計画に基づき、上段で記載した「3つの要件」を満たす本計画を策定します。そして、長野県の場合、事業を実施する区域を管轄する地域振興局商工観光課へ本計画を申請し、県知事の承認を受けます。

■各種支援施策

 本計画が承認された場合には、下記の各種支援(あるいは優遇)施策があります。

1.税制優遇

①地域未来投資促進税制

本計画に従い建物・機械等の設備投資を行う場合の法人税等の特別償却(最大50%)又は税額控除(最大5%)

この税制優遇は建物等が対象資産となっていることが特徴的ですが、設備投資額は2,000万円以上であること等が要件となっています。なお、この制度を受けるためには、対象資産について国の主務大臣による課税特例の確認が必要となります。

②固定資産税・不動産取得税の減免等

上記①の対象資産については、固定資産税・不動産取得税の減免等を受けられる場合があります。適用可否は、県・市町村へご確認ください。

2.低利融資

3.その他

①工場立地法における緑地面積率等の緩和等

②IT補助金や事業再構築補助金等の加点措置等

まとめ

 新規事業を始める場合、設備投資や販売促進等に多額の資金が必要となるため、あらかじめ収益見込、設備投資予定額、事業開始後の借入返済額を知っておくことはとても重要です。設備投資の成否がその後の会社の業績に大きな影響を与えることからも、新規事業計画の策定は必須と言えるでしょう。それと併せて本計画の策定を行うことで各種支援施策を活用し、新規事業を良い形でスタートできれば、経営安定化に繋がることが期待できます。

 本計画は長野県が申請窓口となっており、承認が受けられると国、県及び市町村の税制優遇等が受けられる制度です。近年はこのように、地方自治体に申請することで受けられる各種支援施策がいくつか見受けられるようになりました。これを機に、長野県のホームページなどで企業向け支援施策の情報収集をすることもお勧めいたします。

執筆者

小林 藤子Fujiko Kobayashi

マネージャー・中小企業診断士

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