●はじめに
会社が個人に対して一定の報酬や料金を支払う場合には、支払う側が所得税及び復興特別所得税を徴収し、納付しなければならないことがあります。
これを「報酬・料金等の源泉徴収」といいます。
しかし、実務では「どの支払いが対象なのか分からない」「請求書を受け取ったが源泉徴収が必要か判断できない」と悩む場面も少なくありません。
今回は、報酬・料金等の源泉徴収について、経理実務において確認すべきポイントを解説いたします。
●源泉徴収が必要となる主な報酬・料金等
個人に支払う、以下の報酬が対象となります。
① クリエイティブ関係
・原稿料、写真の撮影料、デザイン料(webやパンフレットなど)、イラスト代、翻訳料
② 専門家への報酬
・税理士、公認会計士、社会保険労務士、弁護士、弁理士、司法書士などの報酬
③ 社内イベント・教育
・セミナーや研修の講師謝礼、通訳料
④ その他(業種によるもの)
・芸能人やモデルの出演料、プロスポーツ選手の契約金、外交員の報酬など
●請求書を見ながらステップ判定
【STEP 1】相手は「個人」ですか?
・NO(法人) ⇒ 源泉徴収は不要です。そのまま全額支払います。
・YES ⇒ STEP 2 へ
【STEP 2】業務内容は「対象の報酬」ですか?上記の①から④の報酬に該当するか否か?
・NO ⇒ 源泉徴収は不要です。
・YES ⇒ STEP 3 へ
【STEP 3】請求書に源泉徴収税額の記載がありますか?
・YES ⇒ 源泉徴収税額を差し引き請求相手に支払います。
源泉税は別途税務署へ納付手続きを行います。 ⇒ STEP5へ
・NO ⇒ STEP 4 へ
【STEP 4】源泉税を計算しましょう
・100万円までの部分 ⇒ 支払額×10.21% ⇒ STEP 5 へ
・100万円を超える部分 ⇒ 支払額×20.42% ⇒ STEP 5 へ
※請求書に「消費税額」が別記されていれば税抜金額をベースに計算できます。
※司法書士、外交員等源泉徴収額計算が上記と異なる場合があります。
司法書士:(報酬・料金の額-1回の支払いにつき1万円)☓10.21%
外交員等:(報酬・料金の額-控除金額)☓10.21%
控除金額:同一人に対してその月中に支払われる金額について12万円
(別に給与の支払いがあるときは、12万円からその月中に支払われる
給与の金額を控除した残額)
詳しくは国税庁「報酬・料金等の源泉徴収事務」をご参照ください。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/aramashi2026/pdf/07.pdf
【STEP 5】納期限を確認する
・原則として支払った月の翌月10日までに納付します。
なお、源泉所得税の納期の特例の承認を受けている場合は、年2回の納付となります。
ただし、納期の特例の承認を受けている場合でも、税理士等の報酬以外の報酬・料金は毎月の納付となりますので、ご留意ください。
納付漏れや納付遅れがあると不納付加算税や延滞税が発生する可能性があるため注意が必要です。
●まとめ
報酬・料金等の源泉徴収で最も重要なのは、
1. 支払先が個人か法人か確認する
2. 支払い内容が源泉徴収の対象か確認する
3.請求書に源泉徴収税額の記載があるか確認する
4. 正しい税額を計算する
5. 期限までに納付する
という5つのポイントです。
特に実務では、請求書を受け取った段階で源泉徴収の要否を判断することが重要になります。
支払いの都度確認を行い、源泉所得税の納付漏れがないように対応をお願いいたします。