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あがたグローバル社会保険労務士法人船井総研 あがたFAS

金融機関への「早期相談」と専門家による伴走支援

大小田 一仁
2026/08/10

「経営トピックスQ&A 2026年8月号」掲載


Q.金利上昇やコスト高で資金繰りに不安を感じるものの、銀行への相談は不安で躊躇してしまいます。このような段階で、早期に専門家や金融機関と連携するメリットを教えてください。

 

A.コロナ禍において調達したゼロゼロ融資の返済が本格化する中で、足下では「求人難」「原材料高」「支払利息の増加」など、中小企業が直面する経営課題は複雑化しています。長らく減少傾向だった倒産件数も2021年を底に増加へ転じ、2025年は2年連続で1万件を超え10,300件となりました。その大半を10人未満の企業が占めており、小規模な事業者ほど厳しい経営環境に直面しているのが実情です。金利のある時代への転換期において、今年の中小企業白書が発する『現状維持は最大のリスク』というメッセージは極めて重要です。「悪い数字を見せたくない」と一人で悩みを抱え、相談を躊躇している時間こそが、経営リスクを高める要因になりかねません。経営改善の成否を分けるのは、何よりも「着手の早さ」です。


■早い段階で検討し、準備を始める

 支援現場で非常に歯がゆく感じるのは、資金の底が見え始め、身動きが取れなくなるような段階になってから初めて相談に来られるケースが多いことです。ある程度資金に余裕がある段階であれば、自力で安定的な経営軌道に戻せる時間的余裕が生まれます。反対に着手が遅れてしまうと、最終的に資金が枯渇し、不本意な形での事業譲渡や廃業を強いられ、選択肢が極端に狭まるリスクが高まります。早期に検討を行うことで、準備しておくべきことが明確になります。


■金融機関との信頼を築く情報開示

 金融機関に対して返済猶予(リスケジュール)などの条件緩和を願い出る際、最も重要となる対応が「経営情報と財務状況の適時適切な情報開示」です。厳しい実態を迅速に開示する姿勢こそが、金融機関との信頼関係構築に不可欠です。また、この情報開示は、対外的に公表せず事業の再生を図る「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」の適用要件であり、「経営者保証に関するガイドライン」でも要求されています。平時から財務の透明性を高めておくことが、結果として会社と経営者ご自身を守ることにつながるのです。


■国の補助金を活用した計画策定と伴走支援

 「計画書の作成や銀行対応が重荷である」という不安に対しては、国の支援制度が活用できます。この制度は、税理士や中小企業診断士などの認定支援機関のサポートを受けて計画を策定する際、その費用の3分の2(上限あり)を国が補助してくれる施策です。令和7年度補正予算においても101億円が計上されており、自社の状況に応じて計画策定支援メニュー(早期経営改善計画策定支援、経営改善計画策定支援)の利用が可能です。補助金の活用にあたっては、実効性のある計画として一定の数値基準を満たす必要がありますが、そうした点も含めて専門家に相談しながら計画作りを進めるのがよいでしょう。

 また、本制度の大きな特徴は、単に計画書を作るだけでなく、その後の「伴走支援」までセットになっている点にあります。計画策定後も、専門家と定期的にコミュニケーションを取りながら、業績や計画の進捗状況を一緒に確認し、金融機関への報告や面談への同席などについても支援を受けることができます。


■まとめ

 どのような段階であっても、共通して言えることは、着手が早ければ早いほど選択肢は広がるということです。資金繰りや金利負担に不安を感じた際には、早期に具体的行動を起こすことが重要です。まずは身近な顧問税理士や中小企業診断士、あるいは取引金融機関に相談することをお勧めしますが、ためらわれる場合には、中小企業活性化協議会や経営改善・事業再生に強い専門家に早期に相談してみることをお勧めします。

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